64. ワサビノキ   2015年6月6日

  吉田よし子著「香辛料の民俗学-カレーの木とワサビの木- 1988年 中央新書」という本がある。
それによると「ワサビノキ」というのはフィリピンで”マルンガイ”、スリランカで”ムルン”、タイで”マルム”、インドネシアやマレーシアでは”ケロール”と呼ばれるそうである。
この本のワサビの木についての節の一部を引用すると以下のようである。
 「マルンガイは、匂いも味も穏やかで、大変食べやすい野菜だ。葉も実も全然辛くない。では何故ワサビの木という名前がついたかというと、この木の根が辛いのである。木部も新鮮なときは,辛い成分を含んでいる。そしてその辛味がインドに派遣されていたイギリス人に、懐かしい故郷の味、ホースラディシュを想い起こさせたのであろう。ホースラデュシュは寒い所の植物だからインドでは育たない。そこでワサビの木の根をすりつぶして、ホースラディシュの替わりにローストビーフに添えたりしたものと思われる。」
 実はこの木は私が勤務していたタイの会社の日本人寮の庭にもあった。その写真を写真1と写真2に示す。
 
 


 その長い莢を採取して莢部分と種子部分の熱水抽出をしてみた。(写真3,写真4)



 抽出液を濃縮したもののRGB値を図1に示す。言うまでもなく糖蜜色である。

 
 
ワサビノキには色々な食効や薬効があるようだ。
表1,表2,表3は次の文献のものを日本語に訳してまとめたものである。
Jed W. Fahey,Sc.D. Moringa oleifera: A Revew of the Medical Evidence for Its Nutritional, Therapeutic, and Prophylactic properties. Part .1.
Trees for Life Journal 2005,1:5
実際の文献にある表には、その参照文献が記載されている。

.
 
 
  タイではワサビノキ粉末(学名のモリンガが使用されている)と霊芝粉末(これも学名のガノデルマが使用されている)を含有したコーヒーが健康飲料として販売されていた。


 
 コレクションリストに戻る