110. 枯れゆく樹木 2016年5月11日

   散歩中に幹の表皮にキノコがたくさん繁殖している松の木を見つけた。(写真1,2)

 
  この木が朽ち果てるまで観察できればと考えていたのだが、5ヶ月後に伐採されてしまった。(写真3)

 

 残った切株はまだ健全に見え、その後は散歩中も無視していた。
ところが、それから約11ヶ月後にその切株を見てみると、切断面にキノコが繁殖していた。(写真4)
そこで、再びこの切株の観察を始めた。
2014年1月になると貝殻状のキノコの外に大豆のような色と形をしたキノコも繁殖し始めた。
2014年5月には切断面に孔や亀裂がはっきりと見られるようになった。(写真5)

 

  2014年の10月から貝殻状のキノコは消滅していき(写真6)、2015年2月には完全になくたった。(写真7)
 孔や亀裂はさらに大きくなった。



  2015年の4月には表面が緑色ががってきて、2015年の5月にははっきりとした緑色となった。
 キノコの栄養源となる有機物が減少し、樹木が分解されてできる無機物が増加。無機物を栄養源として光合成で増殖できる緑藻類が優位になったのであろう。
 緑藻類だけではない、亀裂からは普通の植物も芽を出してきた。(写真8)
 亀裂がどんどん大きくなって、2016年4月29日には切株の約半分が崩落した。(写真9)


  写真4,5,6,7,8,9の丸印で囲んだ部分のRGBを求め、その色見本を示したのが表1である。
単純な灰色でもなく、糖蜜色でもないまさに7変化である。
図1にRGBおよびTの変化を示したが、法則性のような物は認められない。
T値が高いとき(明るい)は乾燥しているときであり、T値が低いとき(暗い)は雨で濡れているときであることは間違いない。



 法則性があるとすれば、時間経過とともにRの比率が低下し、GとBの比率が僅かに増加することぐらいである。

 
 切断面表面ではキノコ、緑藻類などの微生物が活動し(写真10)、その生物の色が反映され、実際の木材内層の色は分からない。
 

 伐採直後と崩落後の切株側面の写真とそのRGBを写真11に示した。
いずれのポイントもR>G>Bであり、材そのものは糖蜜色である。
崩壊後は伐採直後に比較してRにに対するG,Bの比率が高くなっている。



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