136. ワット・ポー 2016年12月27日

 バンコクでワット・プレケオとワット・アルンに行ったらワット・ポーにも行かないわけにはいかないだろう。(写真1)
 ワットはタイ語で寺、ポーは菩提(ぼだい)の意味で、簡単に言えば「悟り」のことである。菩提の反対語は煩悩だそうである。
 
 
 この寺には巨大な涅槃像がある。(写真2)
 
 
 
 三省堂大辞林によれば「涅槃」とは以下のような意味である。
 まだ目は開けておられるので入滅直前の姿ではないかと思う。(写真3)
 



 しかし私のような煩悩の塊のような人間にとっては、このリラックスした姿を見てマッサージをうけているような気持ちになってしまう。
 足の裏には仏教の宇宙観が示されているとのことだが
(写真4,5) 私はついつい足の裏マッサージを思い出してしまう。
 
 実は、ワット・ポーはタイ古式マッサージの総本山でもあるのだ、
 写真6のようなマッサージのポイントを示した古い人体図があるし、写真7のようなマッサージ学校もある。

  
  
 早稲田大学の 小木曽氏は下記論文のなかでワット・ポー内のマッサージ学校について記載されているので、その部分を引用させていただく。
 小木曽航平、「伝統的健康法はいかにしてグローバルな健康文化となるか?:外国人向けタイ・マッサージ学校の役割に着目して」
 体育学研究 59:83-101,2014

 「 外国人の間でよく知られたタイ・マッサージ学校の1つにワット・ポー・トラディッショナル・メディカル・スクール(以下、WTSと略す)がある。
 この学校はチェオプラヤー川東岸、首都バンコクの中心部にある。名称に掲げられているように「ワット・ポー」という仏教寺院と深い繋がりがある。
 ワット・ポーは巨大な寝仏が建立された寺院として有名であるが、他方、タイで初めての市民大学として、タイの歴史、美術、文学、そして医学の知識を記録していることでも
 よく知られている。
 1831年、ラーマ三世王(在位:1824-51)は寺院の改修工事を命じ、各方面の知識を収集させたと伝えられている。
 医学の分野では、薬草の調合方、マッサージのポイントを示した人体図、そして「ルーシーダットン」という健康体操の姿勢を模した像が造形的に残されている。(小木曽,2012)
 こうした歴史背景を有するワット・ポーは今ではタイ伝統医療の象徴として人々に認知されている。そしてこのワット・ポーの中にWTSが設立されたのが1957年であった。」


 タイマッサージは指圧したり、揉んだりするだけでなく写真8に示すようなストレッチを多く取り入れており、思わず「痛い!」と叫ぶこともある。

 

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