92. タン 2016年1月14日

  「タン」という色も代表的な糖蜜色類似色である。(「ワンダムおじさんの糖蜜色研究」 Page57)
その色名の由来は表1に示す通りで、簡単にいうとタンニンで鞣した皮の色である。



 写真1と2にレザークラフト材料皮革の写真とそのRGB値を示した。
 


 図1には写真1.で求めたRGB値と色名「タン」のRGB値を比較した。
なめし革表のRGBと色名「タン」のRGB値は良く一致した。なめし革裏は表よりやや明るく、RGB値が高い。

 


 図2は植物タンニン鞣しの工程図を「日本皮革産業連合会」のウエブサイトを参考にしてまとめたものである。
図中、私が理解できなかった専門用語は皮革用語辞典の説明をそのまま示した。


 タンニン鞣しを行った革の組成を図3に示す。
 タンニン分は皮質分に対して27.6/50.9=54%を占める。
 タンニンは皮のタンパク質コラーゲンと強く結合して、タン色を発色しているのだ。
 タンニンとタンパク質の結合メカニズムを図4に示す。






 図5に植物がつくるタンニンと動物がつくる皮が「鞣しTanning」という操作によって結合し、「タン」を発色するにいたる過程を系統図としてまとめた。
面白いのは植物のタンニンは*紫外線防除*抗酸化*抗病原体作用で細胞を守っており、また動物の皮(皮膚)もまた細胞を守る役目を持っていることである。
その両者が組み合わせて,人はさらなる強い皮膚(皮革)として使用するようになったと言えるだろう。



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