96. 稲荷山黄土  2016年2月12日

  黄土色(おうどいろ)は、代表的な糖蜜色類似色の一つである。(「ワンダムおじさんの糖蜜色研究」 Page54)
黄土色をした土の中で、日本では稲荷山黄土(いなりやまきつち)というのが有名らしい。
京都の伏見で産出する黄土である。
 早速、通信販売で取り寄せてそのRGB値を色名「黄土色」と比較してみた。写真1に示すように両者のRGB値は良く一致している。
 

 写真2と写真3は稲荷山黄土と水を混合したときの状態を示す。
水の添加量が黄土に対して1.5倍を超えると黄土は沈降し水層と分離した。


 
 
  黄土によって糖蜜色素が吸着されるかどうかの実験を以下におこなった。
黄土添加濃度が4%までは遠心分離しても糖蜜色は増加した。8%以上の添加で糖蜜色は減少した。(写真4)



 図1に遠心上澄液の紫外可視吸収スペクトルを示す。
黄土の添加により紫外部の吸光度は減少した。


 波長400nmより長波長(可視部)のODは黄土添加濃度8%までは上昇し、16%で減少した。
一方、波長380nmより短波長(紫外部)のODは黄土添加濃度とともに下降した。(図2)


  図3には黄土を添加しない糖蜜水溶液のODを100%としたときの相対ODを示した。
黄土は可視部に吸収のある色素は吸着しにくいが、波長340nmより短波長の物質は吸着しやすいことがわかる。



 黄土は糖蜜中の高分子色素と低分子のポリフェノールの分離に使用することができるかもしれないので、今後も、実験を続けたい。

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