179. キツネノエフデ 2017年10月7日

 久しぶりにサトウキビ畑にキノコが生えているのを見つけた(写真1)
 
  このキノコは研究日誌第30節「サトウキビ畑のキノコ」の写真6と同じである。
 3年前にはサトウキビ畑に実に色々なキノコが生えたのだが、昨年からほとんど見かけなくなっていた。。
 このキノコは「検索入門 キノコ図鑑、上田俊穂、伊沢正名 著、保育社、1986年」で調べると「キツネのエフデ」に違いない。
 同図鑑には以下のような説明が記載されていた。
 「キツネのエフデ(狐の絵筆)、食用には不適、スッポンタケ科、学名Mutinus bambusinis (Zoll.) Fisch.
 Mitinus=陰茎、bambusinus=竹の
  夏~秋、庭、草地、林などに群生。かさはなく、柄の上部が角状に細まり朱紅色となる。
 その部分に黒褐色の悪臭あるグレバがつき、頭部となる。頭部と柄に区別ははっきりしない。
 卵ははじめ白色で指先大。」
 
 近づいて見ると柄にナメクジが登っていた。(写真2)
 このナメクジは糖蜜色(図1)、頭部のグレバ(胞子をつくる器官)の臭いに引きつけられているのであろうか。
 図鑑には悪臭と書いてあるが、実際に新鮮なグレアに鼻を近づけてみると精液臭に非常に近かった。

 根本の土を掘ってみると、たくさんの白い卵がでてきた。(写真3)


 卵から子実体が伸びてくるところを見たかったが、昼間はまったく見ることができなかった。
 早朝、見てみると9月21日から今日(10月7日)の間、ほとんど毎日、子実体が発生していた。
 子実体の寿命は非常に短く、午後にはもう萎れてしまった。(写真4)


写真5には並んで生えた2本の子実体、写真6には赤くない柄の子実体を示した。


 キツネノエフデが生えた場所は図2に示すように、刈り取った株から新芽が出なかった区画と重なっていた。
 
 キツネノエフデの菌糸体が土壌にあったからサトウキビが発芽しなかったのか、サトウキビが発芽しなかったからキツネノエフデが繁殖したのかは
分からないが、何らかの関係がありそうだ。

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