217.タチン川 2018年6月10日

 私が駐在していたタイの工場はタチン(Tha Chin)川の中流域にあり、工場の用水はこの川から取水していた。
タチン川は上流でチャオプラヤ(Chao Phraya)川から分岐している。
チェオプラヤ川は首都バンコクを流れる大河で日本ではメナム川と呼ばれることが多い。
しかし、メナムというのはタイ語で川という意味であるので、川川というのは本来おかしい。
 1989年にタチン川の上流から下流までを休日にまわってみたことがある。
 そのときの写真を図1に示す。




 ところでマナムメナムのメはメー(母)からきており、ナムは水からみている、
 すなわちメナムは「水の母」の意味、タイでは川は大切に扱われている。
 2011年の8月にタチン川の環境を大切にするためのセミナーがタチン川の船上であった。
 地元の行政機関や企業の人たち、高校生といっしょに私も参加させてもらった。
 私たちが乗った船は写真1のようにボートで引かれてゆっくりと川を行く。

 船内では環境に関する研修会が行なわれた。
 写真2の左はゲーム形式の研修、右は溶存酸素分析の実演である。
 これには私がいた会社の環境管理部の写真が全面的に協力した。


 河畔にはサトウキビ畑が見える。このサトウキビは製糖工場に送られるのでは無く、飲むためのサトウキビジュースをつくるためのものだ。(写真3)

 河畔にはバナナ畑も見える。熱帯の風景だ。(写真4)

 川の水色はメコン川のような糖蜜色ではなく灰色であった。(写真5)
 川の流れが遅いため糖蜜色の鉄を含んだ粘土粒子は川底に沈んだのであろう。


 この日は穏やかなタチン川の景色を満喫できた。
 しかし、このときはるか上流の山々では大雨が降り、それが2ヶ月かかってゆっくりと下ってきてタチン川は氾濫、私がいた工場は操業停止に追い込まれたのである。

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