263. 土葬雀の最期 2019年1月12日

 本節は第223節「土葬雀に生えるドクダミ」の続きである。
ドクダミの花が散ってからドクダミ以外の雑草の勢いが増し,夏の間は土葬雀の鉢は緑の葉に覆われた。(写真1)
10月に入ってからは、雑草はしだいに葉を落とし、冬になると生長を停止した。(写真2)





 1月11日に鉢のベランダへの放置を停止し、鉢から土と植物を抜き取った。(写真3)



 雀の遺骸は第203節「土葬雀」写真7に記載したようにポリエステルネットに入れてて土に埋めたのであるが、これを9ヶ月ぶりに掘り起こした。(写真4)
生えていた植物を水洗して写真5に示した。
写真5下の根のような部分は強いドクダミの臭いがしたので、ドクダミの地下茎であると考えられる。




 ポリエステルネットを水洗し(写真6)、その中に残っていた雀の遺骸を洗浄濾過した。(写真7)

 
 2018年の3月31日にネットに入れた時点では、以外はまだ雀の骨格がはっきりと認められたが、今回取り出した以外は細かくなって、もはや雀の骨格は認められなかった。
 写真8に部位A、B、Cに分別した。
 部位Aは明らかに骨であり、部位Bは羽根由来、部位Cは繊維状のものであった。
 ①は洗浄直後乾燥前 ②は60℃乾燥後 ③は乾燥後のものをマイクロスコープで撮影した画像である。

 図1に示すように部位Cの乾燥後は白色であったが、それ以外は糖蜜色であった。
 乾燥した部位をガスコンロで強熱したときの様子を写真9に示す。
 部位Aは燃焼しなかった、部位Bは一部炎を上げて燃焼したが、大部分は残存した。
 部位Cは、炎の発生はなかったがわずかに燃焼部分があった。
 いずれも残存物のほとんどの部分は燃えない無機物であった。


 土葬雀に植物が生えたことにより、遺骸の大部分は分解されて植物の栄養源として植物に吸収されたものと考えられる。

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