480. 蛇の死骸 4   2022年7月19日

 本節は442節の続きである。
 2021年の11月25日にパットに入れて屋外に放置した蛇の死骸を①残存した骨②微細藻類③溜まった雨水に分別し観察を行った後、
再混合して屋内の窓際に放置した。
 その結果を写真1に示した。
当初は沈降層も上層も糖蜜色(赤褐色)を呈していたが、経過とともに緑色に変化していった。
糖蜜色の原因はヘマトコッカス藻の赤色によるものであった。これは屋外で蒸発が進んだ時にストレス対応のためにできた細胞であると
考えられた。
 しかし、今回の放置条件では水は十分にあるのでストレス対応細胞が通常の緑色細胞に変わったのであろうと考えられる。
2022年の5月になると上層に浮遊していた緑色細胞が凝集し、大きなフロックとなっていった。


 2022年7月17日に一旦放置を停止し、図1のように分別処理を行った。
蛇の骨は消失することなく残存していた。
 

 写真2は残存骨の外観を放置前後で比較したものである。
 細長い骨はさらに細くなっているようであり、背骨を形成してつながっていた骨は完全に分離していた。

 写真3にろ過残渣の顕微鏡画像を示した。
 大きな赤色の細胞がヘマトコッカスのストレス対応細胞であり、大きな緑色の細胞がヘマトコッカスの通常細胞である。
 しかしながら多く見られたのは緑色の球状細胞であった。これらはシアノバクテリアであるかもしれない。


 分別したサンプルは写真5のように再懸濁して放置を再開した。
 微細藻類にせよ、シアノバクテリアにせよミネラルはヘビの残存骨から供給される以外になく、今後、残存骨が少しずつ溶解して行くことを
 期待したい。シアノバクテリアの中には空中窒素を固定するものもいるので、今後、そのような種が増殖してくるかもしれない。

 なお、当初活発に動いていた線虫はまったく見られなくなっていた。


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