10. 生と死の境界 (2014年2月5日)

  2年目株を切断してつくった苗は1ヶ月で枯れてしまうものと順調に生育したものに分かれた。本節でこの生と死の別れ目何であったかを考察する。



(1) 2年目株切断苗
 写真1に2年目株を掘り採った後、どのように切断したかを示す。切断過程において植物体はかなりのダメージを受けており、そのダメージから回復
できたかどうかが生と死を分かったと考えられる。



(2)苗の状態と生育による重量増の関係
 写真2には重量増の大きい順に並べた苗の写真を示す。
苗の状態を比較したところ、根が大きくしっかりしたものは生育が良いように見えた。
そこで根の部分を拡大し、根の大きさを5段階評価した。評価5が最も根が大きくしっかりしており、評価1が小さく、貧弱である。
 図1に5段階評価した根の大きさと重量増の関係をプロットしたところ、両者には強い正の相関があった。
すなわち苗の根の大きさが、その後の生育を左右したと言える。
評価1の苗はすべて枯死し、評価2の苗は枯死したものと回復したものがあった。
評価3,4,5の苗はすべて回復し、生育した。
  






(3) 根の大きさ評価2の苗の移植後の経過
 
  評価2の苗5本のうち、2本は回復したが、3本は枯死した。
まさに評価2の根の大きさが生と死を分かつ境界である。



(4) 苗の重量の影響
 
 表1には生き残った株について根の大きさの評価が高い順に並べ、苗重量と生育(重量増加)の関係を調べた。
その結果を図2に示す。
 苗重量は小さいほど生育は良い。
移植された苗は根によって土壌から水分を吸収することが何よりも優先されると考えられるが、苗の重量が大きい
とその植物体を維持し回復させるに必要な水分も多くなる。
従って苗は根が大きく、地上部(茎と葉)は小さいほど良いと言える。

 このような知見は専門家や農家の方には当たり前のことであるかもしれないが、私にとっては「なるほど」と気づかされる
重要な事項であった。

  

 
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