21.1月から6月に刈り取ったサトウキビ 2014年6月16日

(1)はじめに
 私のサトウキビ畑のサトウキビは昨年の12月に刈り取った。ただし、1部のサトウキビは栽培を継続し、本年の1月、2月、3月、4月、5月、6月に刈り取ることにした。
冬を越し春、初夏になったときにサトウキビがそのように変化するかを観察したかったからである。



(2)栽培を継続したサトウキビ畑の様子(写真1)

 ①栽培を継続するにあたり、2013年12月17日に茎上部の葉のみを残し、茎株の枯葉は除去した。
 ②3月までは外観に大きな変化は認められなかった。 茎上部の緑の葉は枯れてしまうのではないかと考えていたが、予想に反し、緑の葉は残っていた。
 ③4月中旬になると刈り取って残した地下の茎と根から新しい出芽が始まった。
 ④新しい芽の出芽は栽培を継続しているサトウキビの根元からも起こり、,新芽の発生は刈り取った株からよりも刈り取らなかった株からの方が多かった。
 ⑤出芽は根元からだけでなく、地上部の茎の節からも起こった。
  



(3)サトウキビの刈り取りから茎洗浄までの経過

①4月から緑の葉が増加しはじめ、6月にはその比率が多くなる。
②洗浄後の茎表面の色を見ると3月までは赤紫色(アントシアニンの色)が強いのに対し、4月以後、弱くなっていった。



(4) 黒糖製造状況 (写真3)

①黒糖製造過程で特に大きな変化は認められなかった。
②ただし、できあがった黒糖の色に大きな差があった。
 この原因は明らかでないが、煮沸濃縮に要した時間はあまり変わっていないので、やはりジュースの色素成分および色素前駆体の差によるものではないかと考えられる。
 洗浄後の茎の赤紫色が濃いほど黒糖の色が暗くなっているように感じる。
 



(5)刈り取り時期と種々の測定値の変化(1月~6月のデータ)





4月以後、新しい葉が生長するため葉とトラッシュの重量比率が増加する。



 4月以後、茎重量比率は低下する。



 茎 茎重量に対するジュースの回収率も、わずかではあるが低下する。


(6)刈り取り時期と種々の測定値の変化(12月刈り取り時のデータを含む)



茎の重量比率が最も高くなるのは2月である。



pHは4月以後低下する。



Brixは5月以後、増加する。スクロースではない有機酸(トランスアコニット酸など)が増加してくるのかもしれない。





黒糖回収率が高かったのは12月であった。しかし12月にもバラツキがあり。
”思ったほど低下しない”というのが率直な印象である。


(7)地上部の茎節から出る新芽



 暖かくなると、サトウキビは成長を開始する。
 新しい葉や茎を成長させるために、茎のスクロースが使用され、黒糖の回収率は著しく低下するのではないかと予想していたがそうはならなかった。
 上部に残っていた緑の葉が、光合成をして必要分を補っているのだと思う。


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