26. タイの市場で入手した薬草のウオッカ抽出液の色 2014年8月2日

(1)はじめに

 「ワンダムおじさんの糖蜜色研究 6.4 生体内メイラード反応を抑制する物質」において、タイの市場で入手した薬草44種のうち、7種類にメイラード反応を抑制する作用があるのではないかと記載した。(Page329、表30)
ここでは、そららの薬草のウオッカ抽出液の色について述べる。


(2)薬草の名前

 薬草の大部分はチャトウチャック ウイークエンドマーケット(タイ語を英語表記したときの頭文字をとり最近はJJマーケットと呼ばれることが多い)で購入した。
入手した薬草サンプルの一つを写真1に示した。



 タイ語で表示してあるので、その薬草が何であるかを確認するのに苦労した。
確認に使用した書物を写真2に示した。



そして、まとめたのが表1である。




 この中でNo19とNo31は形態は異なるが、いずれもベルノキの果実であった。No31はベルノキの果実を乾燥したもの、No19はそれを粉末にしたものである。
 タイの市場で入手したからといって、必ずしもタイで生産されているものではない。例えばNo11の「イチョウ」はタイにはなく、中国からの輸入品であると考えらる。


(3)ウオッカでの抽出過程と抽出液の色

 抽出に使用したウオッカを写真3に示した。

 ウオッカの量に対して十分なサンプルを混合し、室温で1週間浸漬した。
サンプル量は測定していないが、過剰量のサンプルを用いていると考え、抽出されるべき成分は飽和していると考えられる。
残渣を網で分離後、濾紙で濾過して抽出液を得た。
その抽出液をテイッシューペーパー(TS)に染み込ませ。そのRGB値を測定した。
 各サンプルの実験過程を以下に示す。
 SP 1から5
 SP 6から10
 SP 11から15
 SP 16から20
 SP 21から25
 SP 26から30
 SP 31から35
 SP 36から40
 SP 41から44

 尚、TSに染み込ませるときに抽出液に酢を添加して弱酸性にしたもの、何も添加しないもの、重曹を添加して弱アルカリ性にしたものを調製した。

(4)T値の大きさ(色の明るさ暗さ)

 R値+G値+B値 =T値とした。
 T値が大きいほど明るい色となり、小さいほど暗い色となる。
 T値の小さい順(色の暗い順)に並べたのが表2である。

 無添加のT値(T無)と酢添加(T酢)および重曹添加(T重)のT値には正の相関がある。
 T重はT無およびT酢より小さい。
 糖蜜の色素と同じく塩基性で色は濃くなると言える。
 


(4)T重とT酢プロットの勾配Aの大きさによる分類

表3と図2のごとく勾配Aの大きさで薬草の分類を行った。
グループAの勾配Aは1.84であり、、酸性側で明るく、塩基性側で暗くなる程度がきわめて大きい。
グループBの勾配Aは1.35であり、酸性側で明るく、塩基性側で暗くなる程度が大きい。
グループCの勾配Aは1.14であり、酸性側で明るく、塩基性側で暗くなる程度が小さい。
グループDの勾配Aは0.04であり、塩基性側より酸性側で暗くなる。



 グループA,B,C,Dでの分類結果を表4に示した。


(5)R重とG重およびR重とB重プロットの勾配の大きさによる分類

 表5と図4にR重とG重のプロットによる分類を、表6と図5にR重とB重のプロットによる分類を試みた。


 

 

  図6に示すように Rに対するBの勾配は必ずRに対するGの勾配より小さくなっており。
 抽出液の色はいずれも「糖蜜色」であると言える。
 その糖蜜色の中でもRに対するGの勾配が1に近い場合は黄みを帯びた糖蜜色であり、1から低い場合は赤みが強い糖蜜色となる。

 

 抽出部位とグループ(R対G)の分布を見ると、図7に示す如く、葉/茎の場合は圧倒的にグループ1が多い。
グループ3は幹/樹皮のみに見られる。
花はグループ1が30%、グループ2が70%であり、 実、種子、地下部はグループ1が20%、グループ2が80%程度である。

 
 
 抽出部位とグループ(R対B)の分布を図8に示す。図7のような顕著な差はなく、地下部を除いてグループ2が60~70%、グループ3が30~40%をしめる。
 


(6)薬草サンプルのウオッカ抽出液の色による分類結果

 表7にグループ1,2,3 (R重対G重) および グループA,B,C,D(T重対T酢)での分類結果をまとめた。
私がメイラード反応抑制効果があると期待しているサンプルを◎で示した。
これらを選択した実験については後日記載したい。

 


(7)おわりに
  44種の薬草サンプルのウオッカ抽出液の色はすべて糖蜜色(R>G>B)であった。
 RGBにより薬草の分類を試みたが、もちろん現時点ではその生理活性との関連を説明することはできない。
 しかし、このような試みは趣味の実験としては面白いものである。
 糖蜜色成分は生物に役立つ生理活性を有するであろうという仮説のもとに、今後もデーターを収集していきたいと考えている。
 

研究日誌の最初のページに戻る