43.サトウキビジュースの変色 2014年11月1日

(1)サトウキビジュースの調製

 サトウキビジュースを写真1にようにして調製した。
この処理で得られたジュースは2840g,バガスは3370gであった。



(2)ジュースを36℃で放置したときの外観およびRGBの変化

 下記3種のサトウキビジュー150mlを三角フラスコに入れ、36℃のインキュベーターに放置し、経時的にサンプリングを行った。
 ①未処理 ②煮沸したもの ③煮沸後、液表面に浮いてくる灰汁を除去したもの。
 写真2には外観の経過を示す。
 静置により沈殿物がフラスコの底に沈むので、撹拌(振盪)前後の写真を撮影した。
 
 
  
  撹拌後のRGB変化を図1に示した。
  処理方法により変化のパターンには差があるもののR,G,Bともに経時的に上昇し、暗緑色から明るい黄褐色に変化した。

 


(3)遠心分離した上澄の色変化

 未加熱は最初の色度は大きいが、放置により減少してゆく。
最終的には煮沸、煮沸+灰汁取りよりも未処理の色度が小さくなった。

 


(4)遠心上澄の紫外可視吸収スペクトル
 
  未加熱は最初の吸光度がすべての波長で高いが、最終的には最も低くなった。




(5)遠心上澄の吸光度、pH Brixの変化

 放置開始時の吸光度は未加熱が煮沸したものよりも2倍以上大きい。
原因として考えられるのは以下の2つである。
①ポリフェノールオキシダーゼが加熱失活していないので、ジュースを絞ってから36℃でインキュベーション開始までにメラニン様色素が生成する。
②加熱により、色素が沈殿する。
しかし、放置後8hrで未処理の吸光度は煮沸したものと同レベルまで低下し、その後はさらに低下する。
この原因は未処理の場合、サトウキビジュースに存在していた雑菌が増殖して酸を生成し、pHを低下させ、それにより色素物質が沈殿するためであると考えられる。
Brixは蒸発のために上昇していくが未加熱の場合は減少していく、雑菌により糖が炭酸ガスに変化したことを示唆している。


(6)切株切断面の色変化

 切断面は経時的に暗色化していく、ポリフェノールオキシダーゼによりメラニン様色素が生成されるためである。



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