118. 沈降残渣濾過を実施したときの黒砂糖の生産性 2017年1月19日

 前節では、サトウキビジュースを加熱後沈降する残渣はすべて廃棄した。今回(サトウキビ刈り取りNo.4)は残渣を濾過してジュースを回収することにより時間あたりの黒砂糖生産性が上がられるかどうかを試してみた。

 写真1はサトウキビの刈り取りから切断茎の洗浄までの様子を示す。ここまでは前節と同じ方法である。


  写真2は搾汁→加熱→沈降→サイホン→沈降残渣濾過までの様子を示す。
 この中でサイホンまでは前節と同様であるが、今回は④沈降残渣懸濁液を濾過してジュースを回収する操作を加えた。
 当初⑤のような大型網を使用して迅速に濾過しようとしたが、濾液に残渣が漏れ結局小さな漏斗⑥で再濾過するしかなかった。
 そのために残渣濾過に長時間を要した。
 
 濾過時間が長かったために、すべての清澄ジュースを集めてから濃縮を開始せず、濃縮中に濾液を順次添加するようにした。
 図1に示すように濾液の添加は1次濃縮中に何とか間に合った。

 
 写真3の1次濃縮→2次濃縮→冷却→固化までの様子を示す。
 前節では2次濃縮の回数は2回であったが、今回はシロップ量が多く3回の2次濃縮が必要であった。
 
 ジュースに対する清澄ジュースおよび黒砂糖の収率は前節の結果より大きく増加した。
これは、残渣濾過で清澄ジュースの回収率を上げた成果である。
 
 しかしながら、旧法に対する時間あたりの黒砂糖の生産性は表1および図3に示すように、今回の方法で上げることはできなかった。
 やはり、沈殿濾過に要する時間が長すぎるのがその理由である。
 今後、その濾過時間を短縮する方法を見つけるのが課題である。

 
  

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