124. サトウキビワックス 2017年2月23日

(1)サトウキビワックスとは

 農畜産業振興機構のホームページの砂糖類情報(2008年1月)に「さとうきびおよびさとうきび食品の機能性」という記事があり、
下表が掲載されていた。
 この表の中の4.オクタコサールがサトウキビワックスの主成分である。
サトウキビワックスについて説明した文章をそのまま引用すると以下のようになる。
「茎皮ワックス:砂糖以外の成分利用の比較的珍しいところにワックスがある。
茎の表面に薄く付着する透明なロウ様物質が、Wax Ester(66%),Free Acids(27%),Free Alchol(5%),炭水化物(2%),Fat (Oils,Glyceride,Sterols,Ester)からなるワックスであり、
食用、石鹸、塗料などの原料になる。
良く知られるワックス成分はオクタコサノールである。1949年から約20年間にわたる研究により、持久力増強、ストレス抵抗性などの効果が確認された。
沖縄でも関心を持たれ、黒砂糖が示す高コレステロール血症改善効果が黒砂糖製造中に表皮から混入するワックスによる可能性があることに言及され、
サトウキビ表皮からワックスが抽出・純化されて、高ステロールラットによってその機能が確認された。
皮膚刺激性も低いために、化粧品素材としての実用化も期待される。」

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 図1に日本産サトウキビのワックス層の高級アルコール組成を示す。
C28のオクタコサノールの含有率が圧倒的に多いことがわかる。




(2)サトウキビワックス原料の取得

 写真1に示すように、搾汁時の濾過残渣を集め水洗したものを60℃で乾燥した。

 
 
 次に写真2に示すようにふるいにかけて⑥篩い下と⑦篩い上に分離した。
 篩い下はワックスが多く、篩い上は茎の繊維質が多くなった。
 ワックスの抽出原料として篩い上を用いた。
 


(3)ワックスの一次抽出
 
 抽出剤としてベンジンを用いた。(写真3)


 ワックスは冬期の室温ではまったく溶解しなかったため、ホットプレートで温度を上げたところ50℃で溶解した。
溶解後、濾過して⑤1次抽出残渣と⑥一次抽出濾液を得た。(写真4)
抽出濾液はすぐに温度が下がり白濁した。


一次抽出液は屋外で加熱してベンジンを蒸発させた。濃縮液は室温放置ですぐにワックス状に固化した。(写真5)




(4)ワックスの2次抽出

 1次抽出残渣にベンジンを添加し写真6の方法で2次抽出と濃縮を行った。
2次抽出残渣は外見上すべてが茎の繊維質の粉であった。



(5)できあがったワックスサンプルと調製時のマスバランス

 保存したサンプルを写真7に示す。

 ベンジンを蒸発させたときの温度変化を図2に示す。

 原料粉末の重量を100%としたとき、1次ワックスと2次ワックスを合わせて67%が回収された。(図3)


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