147.根本を水に浸したサトウキビ葉の変色 2017年9月9日

 新鮮なサトウキビの葉を写真1にように根本を水に浸して葉色の変化を観察した。


  写真1の○で囲んだ部分のRGB値の変化を図1に示した。
  5日を境にしてR値がG値を上回り糖蜜色に変化していった。

  
 
  この糖蜜色への変色は水に浸さずに室内空中に放置した場合、ショウトウ部を屋外に放置した場合(第46節参照)に比較して著しく速かった。(図2)
 

  

 これはいったいどうしてだろう。
 水に葉の根本を浸すということが空気中にある部分のクロロフィルの分解を促進するのだろうか?
 写真2に示すように変色しているのは外気に触れている部分で水に浸かっている部分は緑色を維持していた。
 空気-水境界部分には白いカビが繁殖していた。

 

 葉を10cmごとに切断し(写真3,写真4)、その乾燥前後の重量を測定した。

 
 
 
  乾燥前の重量は水に浸されていた部分が水分を吸収しているので当然ながら大きかった。(表1,図3,図4)
 乾燥重量は根本から先端部に進むほど小さくなった。
 空気中にあった葉の水分は乾物基準で9~10%であったが、先端部分は0%であった。
 
 
 

 写真5に気液境界部に発生した白いカビの顕微鏡写真を示す。
 気液境界部に生育したのは十分な水分があり、かつ十分は酸素がある場所であるからだと考えられる。
 

 今回の実験で観察された空中部分の速い変色と水中部分の緑色維持については、その理由究明のための実験を続けたい。

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