166. 4年間刈り取らなかったサトウキビ 2018年3月6日

 163節の表3と表4に「刈り残し」と書いてある区画が2箇所ある。D1とH1だ。
 この区画にある株は4年間刈り取らず、その変化を観察している。


(1)D1株の経過
 ①2017年3月10日~6月9日(写真1)
  2014年と2015年に生育した茎は倒伏しており、2016年に生育した茎には3月10日でも葉に緑色が残っていた。
 5月になると新しく出芽したサトウキビが生長を開始した。

 
 ②2017年6月17日~8月21日(写真2)
  新株がすくすくと生長した。また2016年株には側枝が出て緑色の葉に置き換わっていった。

 
 ③2017年8月28日~10月24日(写真3)
  新株の茎長が伸びて、2017年の茎と高さが変わらなくなった、
  9月になると株の葉が枯れて変色し始めた。
 
 ④2017年10月30日~12月26日(写真4)
  台風で倒伏し、起こすのが難しい株はそのままにした。
  2017年株は葉(側枝)が落ちている。 12月にはいると葉の空が急速に進んだ。

  
 ⑤2018年1月7日~2月26日(写真5)
  葉が枯れ、風に煽られて落ちていった。
  2月18日に枯葉を落とす剪定を行った。
  


(2)H1株の変化
 ①2017年3月10日~6月9日(写真6)
 2014年株、2015年株はすべての葉を失っているものの倒伏はしていない。
 5月になると新芽が生長し、2016年株に側枝が出て、上部の緑が増えつつある。
   

 ②2017年6月17日~8月21日(写真7)
  新株が生長し、2016年株の側枝も生長した。

  
 ③2017年8月28日~10月24日(写真8)
  2016年株の側枝が生長し、頭でっかちになり倒れかかった。
 
  
 ④2017年10月30日~12月26日(写真9)
  2016年株は倒伏し、それにつられて2014年、2015年株も倒伏した。
  2017年株だけが起っている。
  
 ⑤2018年1月7日~2月26日(写真10)
  2017年株は頭頂部に側枝の枯葉が密集していた。 2月18日に剪定するとすっきりした。
  


(3)剪定したD1株とH1株

 2018年2月18日に剪定したサトウキビの様子を写真11(D1株)と写真12(H1株)に示す。
 D1株の2014年と2015年生育茎は容易に手で引き抜けた。
 D2株の2014年と2015年の生育茎には手で引き抜ける物と、引き抜けない物があった。
 

   
  生育年度と残存茎本数の関係を図1に示した。
  D1株では2017年株>2016年株であったが、H1株では2016年株が数多く残っており2017年株より多かった。
  またH1株では引き抜けずに残った2014年、2015年株も相当数あった。
  これはD1株の2014年、2015年株は早い時期に倒伏してしまっており土壌微生物による分解が早く進んだためであると考えられる。
 

  


(4)剪定したH1株の詳細
 
 発達した2016年株の側枝の状態を写真13に引き抜けずに残った2014年、2015年株の状態を写真14に示した。
 
  



(5)生育年度と茎表面の色変化

 写真15に生育年度別の茎表面の写真を示す。またそのRGB値を図2にG/R,B/R値を図3に示した。
 2017年株の表面は白い蝋に覆われているが、2016年株は蝋が剥がれ糖蜜色になった。
 2015年株は薄い灰色、2014年は黒灰色になっている。

 

 
 


(6)まとめ

 3年以上刈り取らなかった茎は水分を失いスカスカになっている。
 これは125節の観察でも同じである。
 D1株とH1株は今年も刈り取ることなしに放置し、どのようになるかを観察する。

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