205. 微生物フロックのサトウキビ茎への移植放置続行 2018年11月22日

 第191節「サトウキビ茎への茎浸漬培養フロックの移植」では8月24日まで放置したときの状態を示した。
 その後も茎の放置を続行し、その状態変化を観察した。
 写真1は8月31日の状態で、スエヒロタケの子実体と菌糸体が生育しているのがわかる。
 

 9月24日までは第187節の写真8に示したように、茎に濡れタオルを被せて放置していたが、9月7日からは写真2に示すように注水して茎の底部が
水に浸かるようにして放置した。その結果、新たなスエヒロタケの子実体の発生が見られた・



 9月13日以後は注水を停止し、水が蒸発するにまかせた。(写真3)



 注水をなくし茎が乾燥すると、スエヒロタケの子実体や多くの微生物コロニーは見られなくなり、茎全体が黒色物質で覆われた。
 この黒色物質を掻き取って回収した。(写真4)


 黒色物質の顕微鏡画像を写真5,6,7に示した。
 明らかに微生物であり、この微生物は第138節「黒色物質の正体」で記載した「すす病菌」であると見られる。
 写真7の左上の画像は極めて興味深い。
 白っぽい背景はサトウキビの茎組織の破片であるが、その上に円形やらせん状の模様が見られた。
 これは一体何であろうか?

 





 黒色物質を掻き取った茎は写真8に示すように、除菌クリーナに浸漬後、水道水で何回も洗浄した。
 これにより大部分の黒色物質は除去されたものの、タワシで擦ってもどうしても除去できない黒色物質が残った。



 洗浄後、乾燥した茎残渣は極めて硬い皮部と繊維状で軟らかい内部に分割することができた。
 分割したサンプルは将来の研究のために保管した。(写真9)
 

 皮部、内部ともどうしても除去できない黒色物質が残っていたが(写真10)、その顕微鏡画像を写真11と写真12に示した。
 すす病菌とおぼしき菌糸や胞子も見えるが、それだけでなく、茎の組織と微生物が絡み合って黒色化しているようである。

 
 それにしても、サトウキビ茎の線維質の耐微生物分解性の強さは相当に強いものである。
 これらが微生物に分解されるには相当長い時間を要するであろう。
 今回回収した皮部と内部の最終茎残渣を土壌に埋めたとき、どのような経過で分解されるのかを後日確かめてみたい。


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