224.枯葉のホワイトリカー浸漬 2019年4月1日

 糖蜜色コレクション273節「伐採したある常緑広葉樹の色変化」で記載した枯葉の糖蜜色は極めて美しかった。
そこで、その枯葉をホワイトリカー(アルコール35%)に室温で9日間浸漬しどのような色素が抽出されてくるのかを見てみた。
写真1には採取し枯葉を示す。それを写真2のように前処理して、写真3のようにホワイトリカーへの浸漬を行った。






 沈降した残渣と上清をデカンテーションで分離した後、上清を濾過して上清濾液を得た。(写真4)

 濾液をホットプレートで約4倍に濃縮すると(写真5),濃縮液には沈殿が発生した。(写真6)


 濃縮液を遠心分離して濃縮液軽液と濃縮液沈殿に分けた。(写真6)
 沈殿はホワイトリカー20mlに再溶解して、図1に浸漬濾液、濃縮液軽液とともにその色調を比較した。


 ホワイトリカー浸漬濾液(WL抽出液)、濃縮液軽液(WL濃縮抽出軽液)、濃縮液沈殿溶解液(WL濃縮抽出沈殿)の紫外可視吸収スペクトルを図2-1,2-2に示した。
いずれのサンプルも280nmに吸収ピークを330nmにショルダーを有していた。
 220nmのODを100%としたときの相対ODスペクトルを図3-1、図3-2に示した。
 紫外部の浸漬濾液と濃縮液軽液の相対ODスペクトルはほぼ重なり、可視部の相対ODは沈殿>>濃縮液軽液>浸漬濾液となった。
 

 図4-1,図4-2には第98節「オーク材ミニ樽からのホワイトリカー抽出色素」に記載した樽出しホワイトリカーと枯葉浸漬ホワイトリカーの相対OD紫外可視吸収スペクトルを比較して示した。
 両者とも280nmにピークを330nmにショルダーを有していた。
 枯葉浸漬液にもオーク材樽出しホワイトリカーと同種のポリフェノール成分が含有されていると推察できる。
 相対ODは前述の通りOD220nmを100%とした値であるが、上澄、沈殿ともに樽出し>枯葉浸漬となっている。これは枯葉浸漬には樽出しには少ない有機酸等のカルボニル化合物が多量に含まれ
 OD220nmが高くなっているためと考えられる。
 可視部の相対ODは何れも沈殿>上澄であり、沈殿色素の重合度が高いことを示唆している。
 枯葉浸漬液の香り樽出しホワイトリカーと類似の芳香を有していた。

 

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