241. 薬草としてのサトウキビ 2019年7月14日

 サトウキビは薬草の一種である。
 八王子市の東京薬科大学薬用植物園に行ったとき(写真1)、サトウキビが植えられていた。(写真2)



 タイに駐在したときに買った文献1にはサトウキビが薬用植物であることが記載されている。



 文献2によればインドではは紀元前1500年~前600年のころサトウキビが栽培されており、サトウキビが治療効果を持つとされていた。


 文献3によればイスラムの医学では砂糖はもっともよく使われる薬であったとされる。


 文献4によれば9世紀以前にヨーロッパにもたらされた少量の砂糖は医療用に使用されていた。


 文献5は正倉院に伝わる60種類の薬物リストであるが、その46番目にショ糖が記載されている。



 文献6によれば砂糖は当初スパイスとして扱われていたが、大量に生産されるにつれ価格が暴落し、スパイスとしての地位を失い
単なる甘味料になってしまったことが書かれている。

 

 文献7にあるように、現在でも砂糖(精製白糖)は医薬品でもある。
砂糖が貴重品であったころはその外観の美しさから想像される神秘性と卓越した甘味から万能薬とされていたという。

 昔はサトウキビの主成分であるショ糖そのものが薬として用いられていたのである。
 現在はショ糖そのものではなくサトウキビに含まれるポリフェノールなどの非糖物質の生理活性に注目が集まっている。
 私もそれに着目して研究を続けている1人である。
 砂糖の大量生産で事実上、薬草の地位を追われたサトウキビが再び薬草として蘇る日も近いと思う。


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