258. オレンジ色スライムの生け花 2019年10月31日

 第90節「オレンジ色のスライム」でサトウキビの切株に発生するオレンジ色のスライムについて述べた。
また第219節「オレンジ色スライムの正体」ではオレンジ色スライムはカビの一種であることを確認した。
 今回はオレンジ色スライムが発生した茎を採取し写真1のように生け花のようにして放置して観察した。
水は蒸発分を水道水で補填した。


 放置したときの経過を写真2~写真9に示した。
写真7では茎を縦に二分割して放置を続けた。菌糸が切断した側面にも広がるかどうかを見たかったからである。
実際には切断した時点で茎の線維質のみが残っていて中身は空洞になっており、側面への菌糸の繁殖はほとんど見られなかった。









 切株表面の色変化を図1(切断前)と図2(切断後)に分けて示した。



 図1と図2から測定したRGBの変化を図3に示す。
また単純化するために区間別の平均RGBを計算し、その色見本とともに図4に示した。
最初R>G>Bであるが、しだいにGとBが上昇しRとGとBはほぼ同一、すなわち白色の菌糸となった。
その後、8月末になり急激な暗色化がおこり、この時点で菌糸体は死滅したものと考えられる。



 第90節の自然な状態でのオレンジ色スライムは黒色になるのに約70日(2016年1月18日~5月1日)であったが、室内で生け花式で放置した場合は
約170日(2019年3月1日~8月20日)と2.4倍の長さであった。
室内では風雨や直射日光に曝されたりしないのが寿命延長の原因であろう。

 放置最終日の水中には白い菌糸体のフロックが残っていた。
菌糸の一部が茎から落下し、水中で繁殖したものであると考えられる。(写真10)




 最終放置茎は水中の微生物とともに写真12のように水浸漬を開始した。
最終的にサトウキビの茎がどこまで分解するかを見てみたい。


 研究日誌の目次に戻る