355.第3サトウキビ畑の経過総合まとめ 2021年7月13日

 第3サトウキビ畑はサトウキビの生長経過、特に各部位の比率変化とジュースのTPPを測定するためにつくったものである。
 このたび、全てのサンプリングが終了したので総合まとめを行った。
 尚 第3サトウキビ畑についての記事は以下の通りである。
 229.サトウキビの芽の伸長 2019年4月25日
 234.サトウキビの芽の伸長2 2019年5月23日
 236.第3サトウキビ畑 2019年6月4日
 239.サトウキビの芽の伸長3 2019年7月7日
 244.第3サトウキビ畑の経過1 2019年8月6日
 251.第3サトウキビ畑の経過2 2019年9月6日
 255.第3サトウキビ畑の経過3 2019年10月9日
 261.第3サトウキビ畑の経過4 2019年11月7日
 264.第3サトウキビ畑サトウキビジュースの総ポリフェノールの経過 2019年11月20日
 265.第3サトウキビ畑の経過5 2019年12月17日
 270.第3サトウキビ畑の経過6 2020年1月18日
 276.第3サトウキビ畑の経過7 2020年2月8日
 282.第3サトウキビ畑の経過8 2020年3月14日
 286.第3サトウキビ畑サトウキビジュースの総ポリフェノールの経過 その2 2020年4月15日
 288.第3サトウキビ畑の経過9 2020年4月25日
 296.第3サトウキビ畑の経過10 2020年5月31日
 301.第3サトウキビ畑の経過11 2020年7月3日
 305.第3サトウキビ畑の経過12 2020年8月12日
 306.第3サトウキビ畑サトウキビジュースの総ポリフェノールの経過 その3 2020年8月14日
 312.第3サトウキビ畑の経過13 2020年9月23日
 319.第3サトウキビ畑の経過14 2020年11月7日
 328.第3サトウキビ畑の経過15 2020年12月31日
 339.第3サトウキビ畑のサトウキビジュースの総ポリフェノールの経過 その4 2021年2月16日
 340.第3サトウキビ畑の刈り取り 2021年2月17日
 343.第3サトウキビ畑の経過16 2021年3月20日
 347.第3サトウキビ畑の経過17 2021年5月5日
 353.第3サトウキビ畑の経過18 2021年6月22日
 354.第3サトウキビ畑のサトウキビジュースの総ポリフェノールの経過 その後 2021年7月10日

 写真1には芽の生長を測定した株の経過画像を示した。
 2018年12月18日に植えた種茎は2019年4月に発芽した。
 芽生えたサトウキビは5月~7月に緑葉を増加させ、8月~9月に茎を伸長させた。
 10月には下部の葉が枯れ始め成熟期にはいった。
 2019年12月~2月は例年より気温が高く、いわゆる暖冬であった。
 そのため、葉が完全に枯れることはなかった。
 2020年4月には蘖が発生しこれが第2世代のサトウキビとして生長した。
 2020年12月には第2世代のサトウキビが成熟した。
 2020年12月~2021年2月は例年より気温が低く、第1世代、第2世代の葉は完全に枯れた。
 2021年5月には第3世代となる蘖が発生し、生長を開始した。
 春に芽を出し、夏に生長、秋~冬に成熟、そして春に根元から新しい蘖が芽をふくというサイクルが繰り返された。




 図1には総重量および茎重量の経過を示した。
 最初の年(2019年)の10月まで総重量は増加し、その後次の年(2020年)の5月までほぼ一定である。
 2020年6月以後、第2世代のサトウキビが生長しその秋には総重量は2倍となった。
 その年の冬は気温が低く、第1世代、第2世代のサトウキビとも葉が枯れ落ちて総重量が減少した。
 茎重量(第1世代のみ)は2019年12月以後、ほぼ一定であった。




 図2は各部位の重量比率の変化である。
 初期は緑葉と根の比率が高いが、最初の年の8月が以後は茎の比率が最も高くなる。
 第1世代の茎が成熟するころ第2世代となる蘖の芽生えがはじまり、2020年の7月以後には第一世代の茎比率を第2世代蘖
 の比率が超えた。
 第1世代の茎の側枝は2020年の秋がピークとなった。それ以後は落下して低下した。





 表1に第一世代の茎から搾ったジュースの物性記録を示した。
 ODは50倍希釈での測定値である。



 ①生ジュースのpH (図3)
  1年目はサトウキビの成熟とともにpHは上昇する。
  2年目の6月以後はpHは低下していく。
 ②生ジュースのBrix(図4)
  1年目はサトウキビの成熟とともにBrixは上昇する。
  2年目は8月~9月に低下があるが、その後回復し3年目の3月までほぼ一定となる。
  3年目の4月以後、急激に低下する。



 ③生ジュースの総ポリフェノール(TPP)
 TPPは上昇を続け、減少することはなかった。(図5)


 ④清澄ジュースのOD
  OD280nm(図6)、OD320nm(図7)、OD420nm(図8)ともに上昇を続けた。





 ⑤pHが高いときOD420nmは低い。(図9)
 ⑥OD420nmが低いときT値は高い(明るい)(図10)
 



 ⑦生ジュースのTPP濃度と清澄ジュースのOD320nmは強い正の相関が認められる。
 


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