384. 最終煮詰めによる黒砂糖の製造 2022年1月30日


 シロップの最終煮詰めによる黒砂糖の製造経過を写真1,2,3に示した。
今期の黒砂糖は飴状になることはなくすべてブロック状になった。
このようなことは、私が黒砂糖作りを始めてから初めてのことであり、まことに喜ばしい。
昨年に比較し私の腕前が上がったということはないので、サトウキビジュースの品質が安定していたためであろう。
 生育が順調だったのに加え、刈り取り時に凍結障害は見られなかった。




  

  表1に最終煮詰めデータと最終煮詰め固化物の色とRGBをまとめた。

 図1にはバッチごとのシロップおよび合計黒砂糖重量(トレイ黒砂糖+鍋残)を示した。
 図2には総最終煮詰め時間(沸騰までの加熱時間+沸騰中の加熱時間)を示した。
 図3には蒸発量を示した。
 図1,図2,図3の傾向は同じでシロップ量の多いバッチは黒砂糖重量も多く、煮詰め時間も長く、蒸発量も多かった。当然の結果であるとともに最終煮詰め操作が安定していた
 ことを示している。
 今回、特に解析したのは最終煮詰め固化物の微妙な色の違いが何に起因するかということである。
 図5に最終煮詰め固化物のRGBを、図6にT値(R+G+B)を、図7にRGB%を示した。

 
 変動因子として①シロップ重量②正味黒砂糖重量③最終煮詰め時間を選び、図8,9,10にRGBとの相関を図11,12,13にT値との相関を見た。
 いずれの因子も大きくなるほどRGBを増加させ、T値を増加させた。
 すなわち、最終煮詰めをしたときのマスが大きくなるほど固化したときの色は明るくなるということである。

 図14,15,16には各因子とRGB%の相関関係を示した。
 いずれの因子においても最終煮詰めのマスが大きくなるほどR%は減少、G%とB%は増加する傾向にあった。
 マスが小さいときはR%,G%,B%の差が大きい糖蜜色であるが、マスが大きくなると差が小さい糖蜜色になる。



 図17に各因子とRGBTの相関におけるR2を比較した。
 シロップ重量はRを除きG,B,Tの相関が強く、総最終煮詰め時間は全体的に高かった。
 図18に各因子とRGB%の相関におけるR2を比較した。
 シロップ重量のR2が各因子の中で最も大きかった。


 これらの結果より最終煮詰め時のマス、簡単に言えばシロップ量が多いときほど明るい色の黒砂糖ができると言える。
 プロパンガス燃焼による熱は、鍋の底面からシロップに伝わるが、煮詰め中は撹拌しているので、シロップ量が多いほど底面の高温に曝される頻度は低くなる。
 そのためにシロップ量が多いほど明るい色の黒砂糖になると考えられる。

 現在、最終煮詰めのシロップ量は統一していない。1回目と2回めの鍋の大きさは同じだが3回目の鍋は小さい。
 それぞれの鍋に入れる量も適当である。
 来期からは鍋の大きさを統一し、シロップ量も揃えることにしたい。
 ただし、収穫日によって得られるジュース量は異なるので、収穫No.間のシロップ量は揃えることはできない。

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