389.乾燥イシクラゲ添加糖蜜発酵廃液濾液のオキシドール処理 2022年4月15日

 第386節に記載したイシクラゲ添加糖蜜発酵液の濾液の蒸発乾固物を水に再溶解し、オキシドールの添加
により残存している色素が消えるかどうかを見た。
写真1にオキシドール処理状況を示した。
①最初のオキシドール2mlの添加で着色度は低下するものの無色透明にはならなかった。
②過酸化水素の分解を促進するため炭酸ソーダ水溶液を添加しても無色透明にはならなかった。
③さらにオキシドール2mlを追加しても、無色透明にはならなかった。
④白色沈殿物をデカンテーションで除去し、すべての上清を集めた。

  オキシドール処理でも完全には消失しない色素の性質を見るために、集めた上清を室内でゆっくりと自然
蒸発して濃縮させた。
加熱濃縮しなかったのは以前、過酸化水素水で処理した液体をロータリーエバポレーターで濃縮していたとき
爆発した苦い経験があるためである。
自然蒸発の経過を写真2に示した。
蒸発により液は濃縮されていくものの、着色度はむしろ低下していった。
ゆっくりと色素の分解がおこったようである。
放置中に白色沈殿が発生したのでこれを除去して濾液を得た。


 ガラス製の25mlサンプル瓶にいれた濾液を7日間室内に放置し自然蒸発させ、発生した沈殿を濾過して
最終濾液を得た。写真3にその経過を示した。

 最終濾液を水で7倍、14倍、27倍に希釈して紫外可視吸収スペクトルを測定したところ200-260nmに
強い吸収が見られた。(図1)
これはオキドールに添加されているリン酸とフェナセチンに由来するものと考えられる。
このような添加物が存在しない過酸化水素水は残念ながら私の私設研究室では購入することができない。





 キシドールの吸収は370nmより長波長ではなくなるので、それ以上の波長での吸収スペクトルを図2と
図3に示した。




 図3に示すように吸光度を対数にとると、波長に対して直線になる。
いわゆる一般吸収という、共役2重結合を多く持つメラノイジンや腐植質に見られる特徴である。


 おそらく酸化反応に極めて強い腐植物質がいつまでも残存しているのであろうと考える。
今後、添加物を含むオキシドールではない酸化剤を入手して脱色を試みてみたい。

研究日誌の目次に戻る