417. 第2サトウキビ畑の12月~1月の地温と過去の無出芽回数 2023年2月3日
 
 第393節で述べたように第2サトウキビ畑の区画による無出芽回数の差異は土壌pHとは関係なく、冬季の地温と関係があるのではないかと
考えた。それは出芽本数は12月と1月の平均最低気温が低くなるほど減少することからも推測される。
 そこで、今回は写真1に示すように地温計を設置して、12月~1月の日の出直後の地温を測定した。


 表1に地温測定データの一覧を示した。

 図1は測定した各区画ごとの地温変化を示した。
 小さなサトウキビ畑であっても測定場所によって大きな差があることが分かった。

  

 図2は平均地温と延岡市最低気温の変化である。

  

 平均地温と延岡市最低気温には図3に示すごとく、強い正の相関が認められた。

          
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 表2にはゾーン別の平均地温の一覧を図4と図5にはその変化をグラフにして示した。


 表3と図6,7,8には各ゾーンの①12月-1月の平均地温(図7)、②地温が2℃以下になった日数(図8)、 ③過去6年間の無出芽回数(図6)を示した。
 表4にはゾーンごとの平均地温との相関性を見るための数値を示した。
 (1)平均地温と無出芽回数には負の相関があることを期待していたが、期待に反し相関は認められなかった。
  特に無出芽回数の多いゾーンⅣは地温が高かった。(図7-1)
 (2)平均地温と土壌沪液pHにも相関は認められなかった。(図7-2)
 (3)平均地温と土壌沪液白色度には負の相関が認められた。(図7-3)
  地温が高いと糖蜜色のフルボ酸やフミン酸が増加して暗色化するのかもしれない。

   
 12月-1月全体の平均地温と無出芽回数には相関が認められなかったが、もっと狭い期間での平均地温
とは相関があるかもしれない。そこで図10にはゾーン別の5日平均地温の変化を示した。


             
 
 図11は期間ごとの5日平均地温と無出芽回数の相関図である。


 図11より各期間の相関係数を求め、その変化を示したのが図12である。

               

  これによれば12月下旬から1月上旬に相関係数が負となった。
 あるいはこの極短期間の地温が春になってからの出芽に影響を及ぼしているのかもしれない。
 今後も継続して地温測定を行い、出芽するときの地温を明らかにしたい。
 また採取してある各ゾーンの土壌についてもその物性を比較してみたい。

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