4.プーアル茶 (2013年11月30日)
2002年の大晦日は妻とともに中国雲南省の西双版納(シーサンパンナー)で過ごした。
シーサンパンナーはタイ族自治区で、タイに長く駐在していた私としては以下の理由からぜひとも行ってみたい場所であった。
1)シーサンパンナーはタイ語でシップ・ソン・パンナー(12の領国)と呼ばれ、タイ人はここから南へ移動してきたのではないかと言われている。今もタイ族の自治州である。
2)タイ族だけでなく、シーサンパンナーには日本文化の源流があるとも言われている。
3)日本文化の源流というだけでなく、シーサンパンナーから海に旅立った人たちが日本人となり、陸つたいに南に移動した人たちがタイ人になったのだと言う人もいる。だから日本人とタイ人は兄弟なのだと。
4)世界の三大嗜好飲料といえば、酒を除けば茶、コーヒー、ココアであろう。雲南省は茶の原産地である。
5)納豆、漬物、微生物発酵茶など発酵食品の宝庫である。
今日は、微生物発酵茶の代表格であるプーアル茶を紹介したい。「プーアル」というのは雲南省の県名でシーサンパンナーの近くにある。プーアルに集積された微生物発酵茶のことをプーアル茶と呼ぶ。
緑茶は非発酵茶、ウーロン茶は半発酵茶、紅茶は発酵茶である。ここでいう発酵には微生物は関与せず茶葉の酵素によって進むものである。ところが、プーアル茶はカビなどの微生物によって発酵させる「堆積」という工程があり、独特の風味、色が得られる。
写真①はシーサンパンナーのジンホン市のお茶販売店の様子である。②はそこに陳列されたプーアル茶である。
プーアル茶は中国黒茶(微生物発酵茶)の一種で写真③にはその水色を緑茶、ウーロン茶、紅茶と比較して示した。
これは「微生物発酵茶・中国黒茶のすべて」という本の口絵写真4.1から選別して整理しなおしたものである。
プーアル茶の水色はまさに濃い糖蜜色である。これこそが茶色であろう。
茶色はタイ語でシーナムタン(砂糖色)という。昔の砂糖には糖蜜がはいっていたからシーナムタンは糖蜜色といって良い。
(ワンダムおじさんの糖蜜色研究. 2.2 タイ語で「茶色」は「砂糖色」を参照のこと。)
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