7.バナナの皮の褐変(2013年12月21日)


  バナナを放置すると写真①のように皮が褐変していく。



  グラフ②には青い円で囲った部分のRGB変化を示した。



 11月17日に放置を開始してから8日目の11月25日にRGBの値は低下がとまり、その後は褐色部分が皮全体に広がっていくのがわかる。
 この褐変現象はバナナの皮に存在するポリフェノールがポリフェノールオキシダーゼによって酸化され、さらに重合することによって褐色色素が生成することによって起こる。
私がバナナの皮の褐変に特に興味をもっているのは、この褐色色素が動物のメラニンと類似している可能性があるということを読んだからである。

 正確を期すために、文献からその部分をそのまま抜粋したい。

「一方、植物、菌類、バムテリアにも種々のフェノール性物質の重合体である黒色ないし暗褐色の色素が存在し、アロメラニンといわれている。動物の真正メラニンは分解するとインドール誘導体やピロール誘導体などが生じるが、植物のメラニンは窒素を含まないカテコール化合物を生ずる。したがってこれらの植物のメラニンは、カテコールメラニンといわれることもある。植物には真正メラニンは、普通には存在しない。植物の花には真正メラニンによる黒い花はない。
黒ユリのような名称は存在するが、これは暗紫色の花で、全く別の色素グループによるものである。
ただ、バナナの皮には多量のチロシン由来のo-ジフェニル誘導体(ドーパミン)が存在しており、バナナの皮が傷ついたり古くなったりすると暗褐色の色がつくが、この場合は動物メラニンに類似のものが生じている可能性はある。

引用文献:梅鉢幸重.4.メラニン,動物の色素-多様な色彩の世界.内田老鶴圃.2000.

 そこで、ひょっとしたら、バナナの皮の褐変を防ぐ安全な物質が見つかれば、それは美白効果があるかもしれないとワンダムおじさんは考えるのである。
 
 さてバナナの皮は黒くなっても、中身は写真③のごとく白いままで食べたらよく熟成していて美味であった。




 バナナもサトウキビと同じく熱帯の植物である。栽培が始まったのはニューギニアであると言われている。実はサトウキビも栽培種の起源はニューギニアあたりという説が有力である。
日本ではバナナの生長過程を観察することは容易でないが、熱帯のタイなら簡単だ。特に私ががタイにいたときの第2の研究所(熱帯のパラダイスである寮の庭:ワンダムおじさんの糖蜜色研究Pag28)では毎朝写真を撮るだけで良い。
そのときの記録を写真④と写真⑤に示した。




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