54. 霊芝(レイシ) 2015年3月1日

 昨年の6月にバンコクのオートーコー市場に行ったときに、ロイヤルプロジェクトショップに立ち寄った。(写真1)
ロイヤルプロジェクトショップというのはタイ王室が貧しい農民のために新しい産物を開発しそれを販売している場所である。
タイ北部で栽培されているコーヒーもロイヤルプロジェクトで開発された産物の一つである。
 さて、そのロイヤルプロジェクトショップで「霊芝(レイシ)」を見つけた。(写真2)
霊芝はキノコの一種でサルノコシカケ科に属し、マンネンタケとも呼ばれている。高血圧症を初めとし、種々の病態を予防したり治したりする効能がある。
自然に生えている霊芝を見つけることはきわめて難しく、私は今まで一度しか見たことがない。
霊芝の人工栽培は1970年代に中国と日本で確立され、現在はタイでもロイヤルプロジェクトで実施され健康食品として市販されている。


 写真3に購入した霊芝の傘内部のRGB値を示した。
見事な糖蜜色である。


 霊芝は中国で最も古いと言われる薬物書「神農本草経」(写真4)の上薬の部に記載されているほど有名な薬であったのだが、
深山幽谷にしか生えないという貴重なキノコであったため、誰にでも手に入る物ではなかった。



 
  しかし、その人工栽培法が確立されてからは、その入手は容易となり、その成分の生理活性が明らかになってきた。
写真5は霊芝の生理活性などが記載された英文図書の一つである。


 私は「霊芝」には格別の思い入れがある。
実は「霊芝」のタンク培養の研究をしていた経験があるからだ。
霊芝などのキノコはカビの仲間で、通常は菌糸体として土中や枯れ木の中で繁殖している。これが目に見えるキノコとなったのが子実体(シジッタイ)である。
タンク培養ができるのは、菌糸体である。
私たちは、霊芝の菌糸体をコウジカビやクモノスカビの如く、通常の発酵食品に使用している菌糸体と同じように使用して新しい発酵食品の開発を試みた。
いくつかの特許を出願したが、その中の実施例の一つを図1に示した。



 この特許の筆頭発明者である故 田村力(タムラツトム)氏は1996年に台北で開催された霊芝研究会議に招待され、特別講演を行った。
そのときの講演要旨(英文)を和訳したものを表1に示す。
和訳は完璧ではないと思うが、意味するところは間違っていないと思う。



 このマンネンタケ発酵食品は事業化にはいたらなかったが、この開発を経験することによって、私の中にヘルスケアー食品やアンチエイジング食品への興味が湧き出てきた。
その興味を今はサトウキビ成分に集中しているところである。

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