81. アーモンドとヘーゼルナッツ 2015年11月2日

 糖蜜色類似色のひとつに「ヘーゼルブラウン」という色名の色がある。「ワンダムおじさんの糖蜜色研究 Page56」にこの色について以下のように記載した。
「ヘーゼル(セイヨウハシバミ)の実をヘーゼルナッツといい、ドングリと同じ形状をしている。その色がヘーゼルブラウンである。ヘーゼルナッツ入りのチョコレートは有名。色素は栗と同じくタンニンに由来すると考えられる。ヘーゼルナッツから抗酸化作用のあるポリフェノールが見いだされている。」
 私は生のヘーゼツナッツを見たことがなかったので、これを入手してその色をよく観察してみたいと思っていたが、なかなかその機会がなかった。
先月、東京JR八王子駅ビル内の富高商店で見つけることができたので、アーモンドとともに購入した。(写真1)
 写真2は袋から取り出したもの。写真3はミキサーで粉砕したものである。


 アーモンドやヘーゼルナッツの糖蜜色は皮の色なので、皮を剥がして集めようと思ったのだがなかなか簡単ではない。
そこで粉砕したナッツを水に懸濁し表面に浮遊してくる皮の多い部分を回収した。(写真4)


 さらに皮の多い部分をピックアップして乾燥した。(写真5)
 

 次いで乾燥した皮部分をエタノールで抽出した。(写真6)
 

 アルコール抽出液は15日間浸漬したにもかかわらず無色透明であった。(写真7)


 アルコール抽出残差を乾燥してから、1%炭酸ソーダ水溶液と乳鉢で混合した。
残渣は乳鉢では極めて粉砕しにくかった。(写真8)
抽出液を遠心分離すると黄褐色の液が得られた。(写真9)



 抽出液を水で希釈したところ、エタノール抽出液は白濁した。エタノールには溶解するが、水に溶解しない脂質が析出したものと考えられる。(写真10)


 写真10の希釈液の紫外可視吸収スペクトルを図1に示した。
エタノール抽出液は白濁しているため、可視部でも吸光度は高かった。それでも、短波長になるにつれて吸光度は上昇し、200nmにピークが認められた。
エタノールにより紫外吸収物質が抽出されていると言える。
エタノール抽出残差の1%炭酸ソーダ水溶液はアーモンド、ヘーゼルナッツともに吸収ピークはなく長波長から短波長にむかって指数的に吸光度が上昇した。
 

  図2には炭酸ソーダ抽出液について350nmの吸光度を100%として相対吸光度のスペクトルを示した。350nmより長波長でも短波長でも350nmを境にして
波長と相対吸光度の対数は右下がりの直線関係にある。
 その関係の勾配(係数a)は図2'のようになる。


 勾配の大きさはヘーゼルナッツ>>アーモンドである。
ヘーゼルナッツの皮の色素はアーモンドの色素よりも重合が進んでおり、分子あたりの共役二重結合の数も多いと推定される。

 図3にはRGB値およびRGB%を示した。
色名「ヘーゼルブラウン」はヘーゼルナッツの色よりもみしろアーモンドに近かった。
ヘーゼルナッツはRGBのすべてがアーモンドより小さく暗色である。特にG%が低い。




 最後に私の好きなアーモンドおよびヘーゼルナッツチョコレートを写真11に示した。
ウイスキーのつまみに最適である。(写真11)



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