123. 茶渋 2016年9月1日

 私の愛用のマグカップに、茶渋が付着した。(写真1)
 茶渋の色は典型的な糖蜜色である。(図1) 


 

 この茶渋は重曹水溶液で撹拌したぐらいでは落ちない。歯ブラシでゴシゴシとこすってなんとか除去した。(写真2)


 洗浄液は濁っており、電子レンジで加熱しても濁り物質はほとんど溶解しなかった。(写真3)

 

 茶渋洗浄液の紫外可視吸収スペクトルを図2に示した。
 メラノイジンと同じく一般吸収を示し、280nm付近と330nm付近に肩がある。


 
 茶渋の成分についての稲垣と西川の研究によると「まとめ」に次のように記載されていた。

 「緑茶由来の茶渋は,水道水を使って浸出した場 合,カテキン類の酸化による生成するタンニンでは なく,シュウ酸カルシウムが主体であることがわか った.
 シュウ酸カルシウムは,茶のえぐみ成分として知 られており,本成分が減少することにより茶の呈味 成分に変化を及ぼす可能性があることが示唆され た.
 積層したシュウ酸カルシウム結晶による凹凸によ り渋味成分の吸着効果も期待できるため,使い込ん で茶渋の付着した急須においても呈味成分が変化す ることが示唆された.」
 三重県工業研究所研究報告 (34), 169-173, 2009 

 確かに主成分はシュウ酸カルシウムかもしれないが、シュウ酸カルシウムは糖蜜色ではないので、糖蜜色の主体はカテキン類の重合物であると私は考えている。

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