178.栗の皮と棘の色素 2017年9月28日
今年も母が植えた栗の木から栗の実が採れた。(37節、栗の実)
写真1のように茹で栗にして美味しくいただいた。
栗の皮の色は明らかな糖蜜色であるが、今回は栗の皮を粉砕して(写真2)色素を熱水抽出してみた。
また長く室内に放置した栗のイガ(74節,栗のイガ)の棘についても色素の抽出を行った。
写真3に示すように栗のイガは室内に放置しておいても外観はほとんど変わらない。
乾燥した棘は非常に頑丈で調理用ミルでも完全には粉砕できず、棘の形状を残していた。
色素の抽出は写真4のように1%炭酸ソーダー水溶液で30分煮沸後、残渣を濾過した。
抽出濾液の希釈倍数と色調の変化を写真5に示す。
抽出濾液にテッシュペーパーを1夜浸したときの色を写真6に示す。
図1にはそのRGB%と色見本を示す。
皮の色素は棘の色素よりR%が高く、G%とB%が低い。
図2に抽出液の紫外可視吸収スペクトルを示す。両者とも280nmにピークが認められた。
また図3,図4には280nmの吸光度を100%としたときの相対吸光度のスペクトルを示す。
両者の相対吸光度は460nm以下(紫~青)で棘>皮となり,460nm~540nm(青~緑)で棘<皮となる。
皮の色素は緑の吸収が強いために、反射色では緑(G)が弱くなっている。
文献による栗皮抽出色素の紫外可視吸収スペクトルも今回測定したスペクトルと同じパターンであった。
各フラクション(Fr1,2,3)については文献を参照されたい。
この文献では栗皮抽出色素をメラニン様色素と称している。
カラメル色素に変わる純天然色素として利用できる可能性があるようだ。
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