185.塩化鉄(Ⅱ)の色変化 2017年11月15日
塩化鉄(Ⅱ)・4水和物結晶は写真1に示す通り黄緑色をしている。
この結晶を水に溶解して放置したときの色変化を写真2に示した。
結晶を蒸留水に溶解すると、結晶と同じ黄緑色になるのだが、水道水に溶解すると黄褐色になる。
これは水道水の殺菌に使用している塩素の酸化作用によりFe2+がFe3+に酸化するためであろうと考えられる。
蒸留水に溶解した塩化鉄(Ⅱ)の色は放置時間とともに酸化されて、しだいに黄褐色に変化した。
図1に塩化鉄(Ⅱ)水溶液のRGB変化を示す。
水道水に溶解した場合、R,G,Bとも大きな変化はないが、蒸留水に溶解した場合、GとBが時間とともに低下した。
蒸留水に溶解して約1日経過した液に、オキシドールを添加すると一挙に酸化が進み、糖蜜色となった。(写真3)
オキシドール添加液のpHは0.97であったが、炭酸ナトリウムでpH7に中和すると、緑灰色の沈殿が析出した。
これを静置すると緑灰色の沈殿は底に沈み、表面には糖蜜色の層ができた。
中間部分はやや糖蜜色を帯びた透明の液になった。
沈殿物をビーカー底から取り出し、ステンレス製容器に入れて強熱したときの様子を写真5に示した。
強熱残分は赤錆色であった。(写真6)
全体としての色変化を示すと図2のようになる。
まるで緑の植物が枯れて、土に戻るときのような色変化に類似している。
塩化鉄(Ⅱ)結晶との類似色を図3で選択した。
色名とRGBは 永田泰弘 監修、 日本の色世界の色、 ナツメ社2010年 から引用した。
最も塩化鉄(Ⅱ)結晶の色に似た色は、シーグリーンとリーフグリーンであった。(表1)
大気に酸素がほとんど存在しない原始地球の海の色は、Fe2+が溶解して黄緑色をしていたと考えられる。
シアノバクテリアの登場により酸素が生産されるとFe3+への酸化が進み糖蜜色の海に変化したであろうことは拙著の下記章に述べたとおりである。
「ワンダムおじさんの糖蜜色研究、第5章5.3 糖蜜色に染まった太古の海」
図5の色変化はそのときのシュミレーションであるとも言える。
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