274. カオ・マークとネーム 2019年4月3日
私が初めてタイに行ったのは、タイのグルタミン酸ソーダ製造会社に技術協力をするためであった。1989年であるから30年前のことである。
その会社のB女史は発酵のエキスパートで毎日、私とミーテイングで情報交換をしていた。
仕事の合間に、「タイの発酵食品に興味があるので代表的なものをぜひ紹介して欲しい」とお願いした。
そのときにB女史が持ってきてくれたのが「カオ・マーク」(写真1)と「ネーム」(写真4)であった。
この二つが、私がタイで最初に出会った発酵食品である。
カオ・マークの製造法を図2にネームの製造方法を図3に示した。
図1ではカオ・マークはバナナの葉に包んで発酵させると書いてあるが、写真1は「芋」の葉であった。
葉を開けると干し柿のような芳香が漂い、非常に甘いデザートであった。
写真2は、その後タイの友人のお母さんにつくっていただいたカオ・マークである。
小さな餅状のものはスターターである。
カオ・マークは近代的なスーパーマーケットでも売られていた。(写真3)
通常は白い糯米を原料にしているので製品の色も白いが、赤米を原料にすると赤紫色のカオ・マークができる。
その色はアントシアニン系の色素による物である。
ネームは乳酸発酵させた豚肉であり、メコンウイスキーのつまみに最適である。
ネームの色調は赤味を帯びた糖蜜色である。
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