278. 東北タイの水田の樹木 2019年5月3日
タイ東北部の水田には大きな樹木が生えている。タイの中央平野の水田には見られない光景だ。
写真1は1992年の1月にヤソートン県で撮影したものである。
藁を残して先端部だけを収穫するので、収穫後の田は糖蜜色である。(図1)
その糖蜜色の水田にたくさんの樹木が存在し、場所によっては水田ではなく林と見間違うこともある。
写真2は2008年8月にスリン県で撮影した若いイネが生育中の水田で、やはりたくさんの樹木が存在している。
この樹木のある水田について文献1ではいくつかの呼称があり、これこそアグロフォーレストリーの一形態であるという説がある。
1992年に写真1を撮影したときは、日本人のバスツアーでたまたま同行された当時熱帯農業研究センタータイ事務所代表の上野先生に
なぜ、田に樹木が生えているのかという理由をお聞きした。(情報1)
私はタイ駐在中、この農業の形態を大変魅力的なものだと考えてきた。
会社の東北タイ出身者で実家が米を作っているという人に、「イネと樹木が共存する東北タイの水田はすばらしい方法である。
なにか特別な理由があるのか?」とたずねてみた。
しかし、返答は「田んぼに大きな木なんかない方が良いに決まっている。伐採するのが単に面倒なだけ、要するに怠け者なのだ。」
という身も蓋もないものであった。
私は景観そのものが、とても美しいと思う。もっとすばらしい返答を期待したのだが。
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