374. 柿渋液の放置 2020年9月21日
第301節で調製した発酵させた渋柿の圧搾液を写真1のように放置した。
圧搾残渣の放置経過については第351節で記載した。
写真2に撹拌前のサンプリング時の状態を写真3の撹拌後のサンプリングの状態を示す。
放置1ヶ月では底に沈殿の堆積はないが、放置3ヶ月後から沈殿の堆積が認められた。
サンプルは凍結して保管し12ヶ月目に溶解した。(ただし12ヶ月目のサンプルは凍結していない。)
凍結融解後の状態を写真4に示した。
写真5には凍結融解液の遠心分離後の状態を示した。
遠心分離上清にはデカンテーションでは流れやすい沈殿があったため、さらに濾過した。
濾液の状態を写真6に示した。
表1には懸濁液と濾液の色調およびRGBを示した。
図1はT値の経時変化である。
懸濁液のT値の低下は「遮光なし」の方が「遮光あり」より早かった。(光により暗色化速度が速くなる)
しかし、9ヶ月経過後は両者に差は見られなくなった。
濾液のT値は懸濁液とは逆に「遮光なし」が「遮光あり」より常に大きかった。
図2に濾液の紫外可視吸収スペクトルを示した。
吸収スペクトルには波長195nmと波長275nmにピークが認められた。
図3にはピークであるOD195nmとOD275nmおよび色度を示すOD420nmの経時変化を示した。
いずれも「遮光なし」のOD低下が「遮光あり」のOD低下より早かった。
光によって圧搾液に溶解していた低分子ポリフェノールの高分子化が促進され沈殿の生成を促進すると考えられる。
図4にpHの経時変化を示した。
放置1ヶ月で急激に低下し、その後はほとんど変わらなかった。
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