20.サトウキビの根 2014年6月10日
サトウキビの茎や葉は見たことがあっても地下にある根を見たことがある人は少ないだろう。
図1にサトウキビの根の構造を示す。
サトウキビの根には2種類があって、一つは蔗苗根(シャビョウコン)といって母茎(種茎)から直接伸びる細い根である。もう一つは茎根といって主茎からの伸びる根である。
私のサトウキビ畑で、刈り取ったサトウキビの根を掘り起こしてみた。土が根に強く付着し(というより根が土に強くからまって)、土を除去するのはかなり労力を要した。水で何度も洗い、髪を洗う要領で丁寧に汚れを取り除いた。(写真1)
そして、上下左右から撮影したのが写真2である。
写真3は近接写真である。
4mにも達する地上部の茎や葉をささえるには、思ったより小さい。横には広がっているものの深さは浅い。
私のサトウキビ畑はもともと駐車場であった硬い土の上に柔らかい土を30cmのせてつくった。(新しいサトウキビ畑をつくる)
従って深さ30cm以上には根は成長しにくいのだ。
東北タイの土壌にも、深さ30cm付近のところに硬盤層というのがあって、根がそれより深く成長するのは困難であるという研究がある。(図2)
それでも、30cmの柔らかい土があれば、サトウキビはりっぱに育つ。
もし、これが30cmより浅くなるとサトウキビの成長は著しく悪くなる。
昔、タイにいたとき工場内の敷地を使ってサトウキビの実験をしたことがあった。種茎を植えた直後は旺盛に成長したのだが、あるところからピタリと成長が止まった。
掘り起こしてみると、何と浅いところにコンクリートの瓦礫が埋まっており、それが根の成長を妨害していたのである。
それ以後、土は十分に掘り起こすことにした。
最低30cmは柔らかい土がないといけないのである。
生と死の境界でも記載したように、根の大きさはサトウキビが生きるか死ぬか、成長が続けることができるかできないかを左右する重要な因子である。
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