27.日本、中国、米国人女性の皮膚色 2014年8月8日

(1)はじめに
  「ワンダムおじさんの糖蜜色研究:4.2 A嬢の小麦色の肌とワンダムおじさんのダムな肌」で日本人女性の皮膚色のRGBパターンにつき紹介した。それでは日本人女性の皮膚色は他国の女性に比較してどのような特徴があるだろうか。
その研究をおこなうにあたり、写真1に示した五味彬 氏の写真集の画像をRGB解析に使用させていただいた。もし、この書籍がなかったら本研究はまったく進まなかった。改めて深く謝意を表したい。
皮膚色は通常日焼けする恐れのない「腹部」を採用した。
 お断りしておかなければならないことは、この研究はこの書籍の画像データのみをサンプルにしている点である。同じ国籍をもった人でも皮膚色には大きなばらつきがある。
しかし、サンプル数は少ないとは言え、ある程度の傾向は見いだすことができたと考えている。


 


(2)RGB値データ
 
 日本人と中国人はその外見から全員モンゴロイドと判別されたが(表1,表2)、米国人はコーカソイド(表3)とニグロイド(表4)に分別した。

 
  
   
   


(3)皮膚色の明るさ

 皮膚色の明るさを示す数値としてT値=R+G+Bを用いた。T値が大きいほど明るくなり、小さいほど暗くなる。
図1に示すように、頻度が最も高くなるT値の範囲は①米国人(コーカソイド) 601~650 ②中国人(モンゴロイド) 551~600 ③日本人(モンゴロイド) 450~500 ④米国人(ニグロイド) 450未満 となり、日本人は中国人の皮膚よりも
かなり暗い皮膚色をもっていると言える。

  
  このことは図2に示す平均RGB値の比較でも明らかである。
中国人女性の皮膚色は日本人女性の皮膚色よりも米国人女性(コーカソイド)のそれに近い。
 


(4)R vs. G,Bプロット

 R vs. G,B プロット(図3)を見て気づくことは、その相関性が米国人(ニグロイド)>日本人(モンゴロイド)>中国人(モンゴロイド)>米国人(コーカソイド)の順になっていることである。
このうち、米国人(ニグロイド)のサンプル数は少ないので、それを除外して相関係数の二乗(R2)を比較すると図4のようになる。
この原因を明らかにするために(5)で T vs. R,G,Bプロットの解析を行った。


 


(5)T vs. R,G,Bプロット

 図5にT vs. R,G,Bプロットを行い。その1次関数の特性を図6に比較した。



 

  図6から言えることは次の通りである。
 ①T vs. G プロットは日本人、中国人、米国人でほぼ一定である。G=A*T+Bの1次関数において勾配Aはほぼ0.33、Bはほぼ0である。
  かつR2もすべて0.95以上である。
 ②T vs. B プロットは勾配A、切片Bとも日本人、中国人、米国人で大きく変化する。R2はすべて0.9付近を維持している。
 ③T vs. R プロットは勾配A、切片Bとも日本人、中国人、米国人で大きく変化する。特にR2が大きく異なっている。
  日本人はT vs. R の相関性が極めて高いが、中国人ではほどほどの相関、米国人では相関性は低くなる。
  この差違がR vs. G,B プロットの相関性の差違の原因となっている。
  すなわち、日本人の場合はT値(皮膚色全体の明るさ)に及ぼすR、G、Bの寄与は同程度であるのに対し(R,G,Bの勾配もほぼ同じである)、米国人(コーカソイド)の場合はBの寄与が高くなるのに対し、Rの寄与は著しく小さくなっている。
  中国人は日本人と米国人(コーカソイド)の中間である。

 図7には確認のためにT vs. R、 T vs. G、 T vs. B プロットを行った。
 T vs. G は日本人、中国人、米国人も同じ直線上に乗っている。 T vs. R、 T vs. Bではこれにズレが生じていることがわかる。


  


(6)おわりに
 
  最も興味深かったのは、日本人女性(集団)のT vs. R,G,B プロットの勾配Aがほぼ一定であったことである。これは中国人女性や米国人女性(コーカソイド)では見られなかったことである。
 ニグロイドについてはサンプル数が少なく、解析から除外した。
 しかし、私たちアフリカで誕生した人類の祖先は、ニグロイドと同じような暗い皮膚色をしていたと考えられるので、これを研究対象から除外することは不本意である。
 今後、別の手段でヒトの皮膚色の画像を集めて解析していきたいと考えている。


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