34.バナナ果肉の褐変とその防止  2014年8月21日

(1)はじめに
 33節でバナナの果肉の方がバナナの表皮よりはるかに褐変しやすいことがわかった。
そこで、今後はバナナの果肉を使用してその褐変の状況を研究することにした。
バナナの褐変はチロシナーゼ(モノフェノール モノオキシダーゼ)によるものとされているので、①加熱によりこの酵素を失活させること ②この酵素の阻害剤であるクエン酸(pHの低下および酵素活性に必要な銅イオンの除去)の添加により、
褐変が防止できるかどうかを検討した。


(2)バナナ果肉の準備

 バナナ果肉の加熱は電子レンジにて行った。電子レンジ500W*3分の処理で果肉温度は100℃に達した。(写真1)

 

 写真2は無加熱の果肉の状態を示す。
 
 


(3)果肉/クエン酸水溶液スラリーのインキュベーション

 果肉サンプル1gをガラス容器に採り、 種々の濃度のクエン酸溶液(濃度はクエン酸1水和物として)10mlを添加し、割り箸で混合してスラリーとした。
これらのサンプルを36℃のインキュベーターで24hrインキュベートした。
その状況を写真3、写真4に示した。


 
 


(4)果肉スラリーのRGB値測定

 36℃で24hrインキュベートした果肉スラリーは遠心分離して上澄液を捨て、果肉を水で再懸濁して洗浄し、遠心分離した。
 
  

 

 果肉部のRGBを測定しその合計をT値とし、図2にプロットした。



 図2より加熱失活およびクエン酸の添加によりバナナ果肉の褐変防止効果が示された。


(5)おわりに

 クエン酸の代わりに各種サンプルを添加すれば、そのサンプルのチロシナーゼ阻害作用を粗っぽく評価できると考えられる。


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