47.サトウキビ茎切断面の変色 2014年11月28日

(1)はじめに
 サトウキビを刈り取ったあとの切株の切断面は暗色化していく。43.サトウキビジュースの変色 写真4 
ポリフェノールオキシダーゼの作用によりポリフェノールが暗色の重合物をつくり、これが切断された傷口を塞ぐためである。
そこで、今回は茎の位置によって切断面の暗色化の程度に差があるかどうかを見てみた。


(2)切断した茎の放置状態(写真1)

 室内に放置したが、予想に反し暗色化はほとんど起こらなかった。
刈り取り直後と室内放置終了時の茎を比較すると、乾燥で水分を失って収縮していることがわかる。
そこで途中から屋外に移してみた。すると、暗色化が進み始めた。特に雨に濡れて水分を吸収すると急激な暗色化が起こった。



(3)屋内放置状況(写真2)

 茎の収縮が起こり、茎表面が緑色から赤紫色に変わっていく。
しかし、切断面の暗色化はわずかしか起こらなかった。

 


(4)屋外放置状況(写真3)
  雨が降り水分を吸収すると、すぐに暗色化が起こった。しかし、雨がやみ水分が蒸発すると暗色は消失した。
水分の吸収と蒸発を繰り返しながら、暗色化が進行した。



(5)切断面のRGB値




(6)切断面のT値(R+G+B)の変化




(7) 期間、及び茎位置毎のRGB平均値の比較

 切断面の暗色化が最も起こりにくいのは8節目(茎中央部)であった。
屋内保存では茎上部の暗色化が起こり安く、屋外保存に変えてからは茎上部とともに茎下部の暗色化も急激に進んだ。



(8)まとめ
 
 サトウキビ切断面の暗色化は屋内ではきわめて緩慢であったが、屋外に移すと迅速に進行した。特に雨による水分が暗色化を著しく促進した。
バナナ果皮を放置した場合は、乾燥して水分が失われると暗色化が進んだが、サトウキビ茎の場合はそうではなく、水分が失われると暗色化は遅れるようである。

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