55. MSGとグルコースのメイラード反応  2015年5月10日

(1)はじめに
  「ワンダムおじさんの糖蜜色研究」ではMSG(Lーグルタミン酸1ナトリウム1水塩)とスクロースのメイラード反応について記載した。(3.2 糖蜜色素の分類とメイラード反応について Page100, 表6)
ここではMSGとグルコースのメイラード反応について最もメイラード反応が起こりやすい両基質の比率を実験で求めた。


(2)実験の方法
①MSGは私が顧問をやっているタイ国のタイチュロス社製のものを、グルコースは三栄化工社製の試薬を用いた。
②MSG、グルコースとも2M/lの水溶液として両者を混合した。
③反応は写真1のドライバスにて100℃に加熱した。


(3)大まかなMSGとグルコースの混合比率

 表1に示すように、MSGまたはグルコース単独では暗色化は起こりにくい。両者を混合するとメイラード反応により容易に暗色化がおこった。


図1に加熱前の図2に加熱後の図3に加熱前後の紫外可視吸収スペクトルを示した。
すべての波長においてODは上昇するが、300nm付近にピークが特徴的である。





 加熱によるOD増加が最大になるのはグルコースのモル比率が20-40%の範囲であった。



(4)グルコース比率5~25%の範囲の検討

 表2.図5,図6に示す如く、グルコースの比率が20%のとき色素生成が最大であった。





(5)MSG:グルコースのモル比率が8:2のときの加熱経過

 図7に示す如く300nmのピークの上昇が最も鮮明であるので、OD300nmを追うことにより反応の進行を定量化できる。




(6)おわりに
 私の最終目的はMSG-グルコース系のメイラード反応を用いて、この反応を阻害する物質の評価系をつくることである。
今回の反応は100℃という高温で急激にメイラード反応が進行してしまうので、ゆるやかな生体内メイラード反応を阻害する物質の評価には適さないかもしれない。
通常、生体内メイラード反応阻害成分のスクリーニングに用いられている系は研究日誌39.表2に示したが、そのような設備は私の私設研究室にはないので、紫外可視分光光度計を用いて粗っぽく評価する方法を検討したいと考えている。

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