81. サトウキビジュースの水洗沈殿のエタノール抽出 2016年2月20日
(1)はじめに
79節でサトウキビジュースを加熱したときに析出する灰汁および沈殿物を分離し、その緑色はエタノールにより抽出されることを記載した。
しかし、このときの灰汁および沈殿は水洗浄していなかったために、スクロースを多量に含有していた。
以後、灰汁および沈殿をまとめて沈殿と称するが、そのときの沈殿をなめてみると甘かった。
今回は沈殿を水で十分に洗浄してから、エタノール抽出を行った。
(2)沈殿の回収
2016年2月11日に刈りとったサトウキビのジュースを加熱して発生して灰汁と沈殿を写真1のように回収した。
(3)沈殿の水洗
灰汁と沈殿を混合して、これを写真2のように水道水で5回洗浄した。さらに写真3のように濾過した。
濾過した沈殿には甘味はまったくなく、ほぼ無味であった。
(4) 沈殿の乾燥
濾過した沈殿物を写真4のように乾燥し、粉末を得た。
(5) 乾燥沈殿のエタノール抽出
写真5のように96%エタノールにより抽出液の緑色がほぼなくなるまで抽出を繰り返した。
写真6には乾燥したエタノール抽出残渣を示す。
(6) エタノール抽出液の濃縮
エタノール抽出液を混合し、600mlの抽出液を写真7のように200mlまで濃縮した。
蒸留中の蒸気温度は77℃、冷却水の温度は11℃であった。
写真8に1次濃縮の液の状態変化を示した。
さらに200mlの1次濃縮液をホットプレート(160℃)で加熱濃縮して2次濃縮液15.9gを得た。
(7)エタノール抽出濃縮液の蒸発乾固
2次濃縮液には濃い緑色の液状物質が析出していた。
これを60℃で6.5hrs乾燥させ、さらに40℃で一定量になるまで乾燥をした。(写真10)
蒸発乾固物は固体にはならず写真11に示すようなペースト状であった。
(8)エタノール抽出液の紫外可視吸収スペクトル
ペースト状乾固物を 1,000mgをエタノールに溶解して100mlとし、これを10倍および100倍希釈して紫外可視吸収スペクトルを測定した。(写真12)
そのスペクトルを図1に示す。
78節の測定結果と同じく 220-230nm,270nm、410nm、670nmにピークが認められた。
(9)乾燥沈殿の内訳
エタノール不溶解画分(抽出残渣)が67%、エタノール溶解画分(抽出物)が33%であった。(図2)
両サンプル(写真13)は今後の検討のために冷蔵庫に保管した。
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