98.オーク材ミニ樽からのホワイトリカー抽出色素 2016年7月9日

 2015年の7月末に購入したオーク材製のミニ樽の使用状況を表1に示した。
購入直後に水を充填してリークがないことを確認したのち、8日間ホワイトリカーを充填した。 ホワイトリカーは翁酒造(株)製でアルコール分35%である。
その後、サトウキビ蒸留酒を10月2日まで充填した、そのときの色変化は70節を参照されたい。
サトウキビ蒸留酒を取り出した後にホワイトリカー約1,000mlを充填した。
2016年6月29日にそのホワイトリカーの色を見るために、樽出ししようとしたところ、ホワイトリカーはまったく中に残っていないことがわかった。(写真1)
そこで、2015年8月8日に樽出しして冷蔵保存していたホワイトリカー(写真2)を充填して、樽にリークがあるかどうかを確認した。


 
 写真3、写真4に示すように、明らかにリークが起こっていた。
 しかしながら、8hr以後はリークは止まることがわかった。
 樽のオーク材にホワイトリカーが浸透し、材が膨張してリークが止まったと考えられる。
 貯蔵中に液のリークは認められなかったので、内容物が消失した原因は次のように考えられる。
 ①ホワイトリカーが樽材に浸透し、表面から蒸発した。
 ②樽内にあるホワイトリカー量が減少するにつれ、樽材が乾燥収縮し、材と材の間に隙間が生じた。
 ③材と材と隙間からホワイトリカーが蒸発しついに全てが蒸発した。
 
 

 再充填したホワイトリカーを7月4日に取り出し、新しく購入したホワイトリカーと比較したのが写真5である。
この樽出しホワイトリカーには蒸発せずに残った樽由来成分が存在しているはずである。

 樽出しホワイトリカーをホットプレート(200℃)で加熱したときの経過を写真6と写真7に示す。
濃縮度が上がると褐色の沈殿物が凝集してきた。


 

 樽出し濃縮液を遠心分離したときの状態を写真8に示す。
沈殿にホワイトリカーを添加して溶解した。

  
 上澄液、溶解沈殿液1.5mlをホワイトリカーで50mlに希釈し、ホワイトリカーを参照にして測定した紫外可視吸収スペクトルを図1に示した。
 上澄は220nmと280nmにピークがあり、沈殿は190nmと280nmにピークがった。
 最大吸光度を100%とした相対吸光度スペクトル-2によれば440nmを境にして以下のような入れ変わりが認められる。
 ①440nmより短波長では相対吸光度は上澄>沈殿となる。
 ②440nmより長波長では添いたい吸光度は沈殿>上澄となる。


 

 抽出液にはオーク材由来のポリフェノールが含有されていると考えられる。
 オーク材由来の成分については、古賀邦正 著 「ウイスキーの科学、ブルーバックス 2009年)に詳しく書かれている。

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