286. 第3サトウキビ畑のサトウキビジュース総ポリフェノール その2 2020年4月15日
第264節では2019年8月、9月、10月、11月にサンプリングした第3サトウキビ畑の茎に含まれる総ポリフェノール(TPP)の含有量について
述べた。今回はその続きで2019年12月、2020年1月、2月、3月の茎のTPP含量を測定し、前回のデータに加えて記載する。
写真1は凍結保存しておいた茎を冷蔵庫に24hr置いて解凍し、それを搾汁したときの状態である。
生ジュースは濁っているが、その10mlをホットプレートで1分加熱すると沈殿が凝集してくる。
凝集した沈殿は11月以後は浮遊しやすく遠心分離では完全に沈降しない。(写真2)
そこで今回は遠心分離後、さらに濾過をして清澄ジュースを得た。
生ジュースと清澄ジュースは水で50倍希釈して紫外可視吸収スペクトルを測定した。(図1)
生ジュースを1分加熱したときの蒸発分は吸光度を補正してある。
生ジュースと清澄ジュースの吸光度の差を濁度として図2に示した。
(1) 生ジュースのBrixは11月以後はほぼ一定であった。(図3)
(2) 生ジュースののpHが11月から12月にかけて急激に上昇し、その後は微増した。(図4)
(3)生ジュース液量あたりのTPPは1月までほぼ直線的に増加し、その後一定となった。(図5)
(4)生ジュースBrixあたりのTPPは12月から1月にかけて急激に上昇し、その後はほぼ一定となった。(図6)
(5)清澄ジュースのOD280nmとOD320nmは経時的に上昇したが、OD420nmは9月をピークに減少もしくは一定となった。(図7)
(6)生ジュースの濁度は11月から大きく上昇した。(図8)
搾汁前の茎はまったく洗浄していないので、表面のワックスや汚れが濁度物質となっている。
11月以後、これらの表面付着物が増加していると考えられる。
BrixとpHから見るとサトウキビが成熟するのは11月~12月と判断して良い。
その後は冬の低温に耐えるため茎表面のワックスを分泌したり、総ポリフェノールを増加させるのではないだろうか。
第3サトウキビ畑のサンプリングは今後も4月、5月、6月、7月まで続行する予定である。
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