287.消石灰による糖蜜発酵廃液色素の凝集除去 2020年4月18日

 第172節では塩化鉄(Ⅲ)により糖蜜発酵廃液の色素を凝集除去する実験を行った。
今回は塩化鉄(Ⅲ)の代わりに消石灰を用いて凝集するかどうかの実験を行った。
 その実験方法を図1に示す。


 遠心上清の紫外可視吸収スペクトルを図2に示した。
 図中のNo.は表1のNo.と対応しており、消石灰の添加量の水準である。




 図3は消石灰無添加のときの吸光度を100%としたときの相対吸光度を示す。



 表1に実験結果の一覧を示した、
 遠心上清の画像を見ると、消石灰の添加により色素の凝集除去ができることは明らかである。



 図4は消石灰添加濃度とpHの関係を示した。
 図5は消石灰添加濃度と遠心上清の相対ODの関係を示した。
 長波長になるほど相対ODは低くなり、OD420nmは消石灰200ppm以上(pH11以上)で30%以下に低下した。
 一方短波長のOD200nmは相対ODは70-80%にしか低下しなかった。
 OD200nmの吸収はCaで凝集しない低分子物質によるものが主体であるためと考えられる。
 


 図6には塩化鉄(Ⅲ)と消石灰の添加量と相対ODの比較を行った。
 OD420nmで比較すると Fe3+およびCa2+が40-70ppmでそれぞれ相対ODが20%と30%まで低下した。

 Fe(Ⅲ)の場合、過剰に添加すると相対ODが再び上昇し、100%を越えてしまうことがあるが、消石灰の場合そのようなことはまったくない。
 この点は消石灰処理の長所である。
 一方で消石灰の場合はpHを11まで上げないと十分な脱色効果が得られないことは課題である。
 今後、消石灰処理軽液を放置することにより炭酸ガスを吸収してpHがどこまで下がるか、さらなる脱色が起こるか、好アルカリ性のシアノバクテリア
が増殖するかどうか等を研究していきたい。

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