291. 色違いサトウキビ葉の抽出 2020年5月14日

 母屋花壇のサトウキビの葉3種を採取した。
 表1にその画像とRGBおよび色見本を示した。
 No.1は表も裏も緑色をしている。
 No.2は表はやや紫がかって見え、裏は緑色である。
 No.3は表は赤紫色に見え、裏は糖蜜色である。
 No.2とNo.3の表は採取前はもっと紫色に見えたのだが、色見本を見ると紫色ではなかったようだ。
 本来は紫色の色素を抽出するのが目的であったが、原料の色が紫でないというのは残念であった。
 いずれにせよ、図1の方法に従って抽出操作を実施した。





 写真1は無水エタノール(60℃*1hr)の抽出経過である。
 抽出濾液の色はNo.1は濃い緑、No.2は薄い緑、No.3は黄色であった。
 写真2はエタノール抽出残渣を水道水で煮沸抽出した経過である。
 抽出濾液の色はNo.1がくすんだ黄色、No.2は濃い糖蜜色、No.3は薄い糖蜜色であった。

 

 写真3は熱水抽出残渣を1%炭酸ナトリウム水溶液で煮沸抽出した経過である。
 抽出濾液の色調は熱水抽出濾液と同じであった。
 写真4は炭酸ナトリウム抽出残渣を水洗したときの経過である。

 

 写真5は水洗残渣を1%燐酸水溶液で煮沸抽出した経過である。
 抽出濾液は無色透明であった。

 


 写真6と写真7は抽出濾液を同じ大きさのガラス瓶に入れて撮影した画像である。
 水道水抽出液に燐酸を添加して酸性にしたのはマンゴスチンの皮やスモモの皮の色素のように赤紫に変色することを期待したためであったが
 期待ははずれた。

 
 熱水抽出液に燐酸を添加して1日室温放置すると沈殿が生じた。これを遠心分離し沈殿を水道水で再溶解した。
 その経過を写真8に示した。

 
 図2は葉サンプルごとに抽出剤を変えたときの抽出液の紫外可視吸収スペクトルである。
 すべての葉において300-350nmの吸収の大きさは以下のとおりであった。
  熱炭酸ナトリウム>熱水>無水エタノール>熱燐酸
 葉No.1の無水エタノール抽出液は可視部にクロロフィルによる吸収が認められた。葉No.2も同様の吸収があったがデータの保存にミスがあり図2には示されていない。
 葉No.3の無水エタノール抽出液にはクロロフィルによる吸収は認められなかった。
 

 図3には抽出剤ごとの葉の抽出液紫外可視吸収スペクトルを比較した。
 ①熱水抽出液
  280nm付近の吸収:No.2>No.3>No.1
  330nm付近の吸収:No.2>No.1>No.3
 ②熱水抽出液+燐酸
  ①と同じである。
 ③熱水抽出液への燐酸添加による吸光度低下  
  250nm付近の吸光度低下:No.1>No.2>No.3
  390nm付近の吸光度低下:No.3>No.2>No.1
 ④熱1%炭酸ナトリウム水溶液抽出液
  290nm付近の吸収:No.2>No.1>No.3
  330nm付近の吸収:No.1>No.2>No.3
 ⑤熱1%燐酸水溶液抽出液
  280nm付近の吸収:No.1>No.2>No.3
  320nm付近の吸収:No.1>No.2>No.3
 ⑥燐酸沈殿物溶解液
  270nm付近の吸収:No.3>No.2>>No.1
  330nm付近の吸収:No2=No.3>>No.1
 これらの吸収スペクトルの差の理由について現状では説明できないので、結果の記述のみに留めておく。

 

 写真9に抽出残渣の色調変化を図4にそのRGB変化を示した。
 葉No.1はGが減少し、RとBが増加した。
 葉No.2とNo.3はRとGは大きく増加し、Bはわずかに増加した。
 
 


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