294. 石灰処理をした糖蜜発酵廃液濾液の放置 2020年5月28日

 第287節および第293節に記載したように糖蜜発酵廃液の脱色には消石灰処理が極めて有効である。
問題は処理後の液の高いpHであった。pHが高すぎると環境に排出することもできないし、再利用も困難になる。
そこで、本節では石灰処理濾液を放置したときに空気中の二酸化炭素を吸収してpHが下がることを確かめることにした。

 図1に石灰処理濾液の調製方法を示す。
 石灰処理収量時のpHは11.7、電気伝導度は3.0mS/cmであった。



 表1に石灰処理濾液の室温での放置経過と画像中央部のRGB測定値を示した。
 放置5日目と14日目に発生した沈殿物(炭酸カルシウムと考えられる)を濾過した。
 蒸発分は水道水で補填した。


 図2に石灰処理濾液の紫外可視吸収スペクトルを、図3に放置開始時を100%としたときの相対ODスペクトルを示した。


 表2は石灰処理濾液の重量、pH、電気伝導度の経過を示した。



 図4に液重量変化を示す。
 重量の急激な減少はサンプリングによるものである。
 図5にpHの変化を示す。
 pHは放置4日で8を切り6日以後は7付近で推移した。
 図6に電気伝導度の変化を示す。
 pHの低下とともに電気伝導度は減少し、放置4日以後は13-1.4 mS/cmでほぼ一定となった。
 図7に相対OD420nmの変化を示す。
 OD420 nmもpHの低下とともに減少し、最終的に残存OD420nmは40%となった。
 石灰処理直後のOD420nmの残存率は約20%であるので放置後は20%*0.40=8%程度となる。


 図8に放置液画像中央部のRGBの変化を、図9にT値の変化を示す。
 脱色されて明るい色調になっていることが明らかである。


 以上より石灰処理濾液の放置によりpHは7まで低下することが確認できた。
 また放置時に生成する炭酸カルシウム沈殿に色素が吸着し、色度も低下することが確認できた。

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