299. カビ付き黒大豆 2020年6月16日

 第267節で収穫した黒大豆の麹発酵について述べた。
このときの実験で使用した黒大豆はオートクレーブ殺菌したものを使用した。
その残りを冷蔵庫に保管しておいたところ、表面にカビが発生しているのに気づいた。
冷蔵庫の保管期間は2019年11月26日から2020年2月4日までの70日間であった。
 カビの発生状況は表面に割れのないAより割れのあるBCの方が多かった。
このカビの付いた黒大豆を35℃で4日間インキュベーションしたところ、カビは黒大豆の表面全体に繁殖した。(写真1)


 写真2は黒大豆表面に繁殖したカビのマイクロスコープ画像である。


 写真3はカビ付き黒大豆を切断した内部の状態を示す。


 
 インキュベーションしたカビ付き黒大豆をすり鉢で粗砕し(写真4)、35℃で再インキュベーションした。(写真5)





 粗砕黒大豆のインキュベーションではAの方がBCより白いカビの菌糸体が多いように見えた。
 再インキュベーション後、60℃で乾燥し粉砕した。(写真6)

  再インキュベーションおよび60℃乾燥時の重量変化を図1に示した。

    

 乾燥粉砕品30gにホワイトリカー200mlを添加し室温で105日間浸漬した。(写真7)


 ホワイトリーカー抽出液は濾過して濾液と残渣に分離した。
 抽出濾液の蒸発乾固の様子を写真1と図2に示した。
 抽出残渣の乾燥の様子を写真9と図3、図4に示した。



 表1に抽出時のマスバランスを示した。
 抽出液への固形分の以降はAが45%に対しBCは29%であった。

 表2にフォリン・チオカルト法で分析した総ポリフェノールの値を示す。
 A,BCともに固形分あたりの総ポリフェノールは2%を越えており、相当に高い値であると思う。
   

 図6,図7には抽出液の紫外可視吸収スペクトルを示した。

   
   

 気ままな研究生活なので、このような寄り道をしてしまったが、今後は本来の黒豆きな粉と黒砂糖を原料にした麹発酵の実験に
注力していきたい。

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