303. 続々サトウキビ茎浸漬試験 2020年7月14日
本節は第230節の続報である。
230節では水に浸漬したサトウキビの茎には光合成微生物(シアノバクテリアと見られる)がバイオフィルムを形成して繁殖し、浸漬により
茎の乾燥重量が低下することを述べた。
本節ではバイオフィルムおよびバイオフロックを濾過した濾液に乾燥茎の浸漬を続行し、さらなる重量の減少が起こるかどうかを見た。
写真1は浸漬茎を約1週間ごとに撮影したものである。(2019年4月23日~2020年7月6日)
2020年の7月7日に浸漬茎と液を分離した。そのときの状態を写真2に示した。
写真3は浸漬茎を洗剤をつけて十分洗浄したときの状態である。
写真4は洗浄茎を60℃で24hr乾燥したときの状態である。
第230節の写真6と比較すると暗色化が進み、乾燥時の収縮も大きくなっていることが分かる。
写真5は濾過残渣(バイオフィルムおよびバイオフロック)を分離したときの状態である。
写真6には濾過残渣の顕微鏡画像を示した。
図1にフィルム茎、洗浄茎、乾燥茎の重量を比較した。
図2には付着フィルムの重量を比較した。
茎No.2のフィルム重量が最も大きく、その他はほぼ同等であった。
図3に茎の浸漬を開始したからの乾燥茎の重量変化を示した。
図4は浸漬開始時の重量を100%とした相対乾燥茎重量変化を示した。
第230節での相対重量が平均60%であったのに対し今回は33%まで減少していた。
図5と図6に乾燥茎重量減少を示した。本節の実験期間では重量減少は最大減少量はNo.2の0.71g,最小減少量はNo.3の0.51gであった。
図7には洗浄茎の水分を示した。水分は85%~87%の範囲にあった。
図8,図9には濾過残渣(バイオフィルムおよびフロック)の室温で風乾したときの乾燥曲線を示した。
図10には濾過残渣の風乾重量を図11には湿濾過残渣の乾物基準水分を比較した。
風乾重量は茎No.2が圧倒的に大きく、No5が最も小さかった。
湿残渣の乾物基準水分は2500%~4000%もあり乾物の25倍~40倍の水を保持していることになる。
図12,図13は濾液を遠心分離して50倍希釈して測定した紫外部の吸収スペクトルである。
図14にOD270nmの値を示した。
図15には上清OD270nmと乾燥茎重量減少をプロットした。緩やかな正の相関がある。すなわちOD270nmの物質は浸漬茎由来である可能性がある。
図16には濾過残渣の風乾重量と乾燥茎重量減少をプロットした。両者には中程度の正の相関がある。繁殖した微生物が浸漬茎を栄養源の一部にしている可能性がある。
図17には上清OD270nmと濾過残渣風乾重量をプロットした。両者には弱い相関がある。
写真7には浸漬茎No.5表面でのバイオフィルムの成長を示した。
乾燥洗浄茎は再度浸漬を開始した。濾液は重量が減少しているので水道水で500mlにフィルアップした。
茎重量がどこまで減少するのか楽しみである。
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