310. 黒豆黒糖麹発酵物熱水抽出液の総ポリフェノールと紫外可視吸収スペクトル 2020年9月3日

 前節で黒大豆と黒砂糖混合物の麹発酵物の熱水抽出液にはメイラード反応抑制作用があることを述べた。
 本節では熱水抽出液の①乾燥固形分濃度 ②総ポリフェノール(TPP)含量 ③紫外可視吸収スペクトルを測定した。

(1)熱水抽出液の乾燥固形分

 写真1のその状況を示した。
 N-2(清澄ジュースから調製した黒砂糖を使用)の蒸発乾固物は粘着性がなく掻き取り易かったのに対し、Y-2(重液から調製した黒砂糖を使用)は
粘着性があり掻き取り難かった。



(2)総ポリフェノール含有量

 図1に抽出液あたりのTPP含有量をホワイトリカー抽出液と比較して示した。
 TPP含有量は熱水抽出液>ホワイトリカー抽出液であった。
 図2にN-2とY-2からの熱水抽出液の乾燥固形分あたりのTPP含有量を示した。
 Y-2 > N-2 であった。

  


(3)紫外可視吸収スペクトル
 
 FC(フォーリンチオカルト)法のブランクの紫外可視吸収スペクトルを図3と図4に相対吸光度スペクトルを図5と図6に示した。
 240nm~400nmの紫外部の吸収は熱水抽出液がホワイトリカー抽出液より高かった。


  

 相対吸光度差(熱水抽出-ホワイトリカー抽出)のスペクトルを図7に示した。
 230nm~300nmにかけて吸光度差が大きくなっている。
 熱水抽出液にメイラード反応抑制作用が認められ、ホワイトリカー抑制作用が認められないのはこの領域に吸収を有する成分の差によるのかも
しれない。 

    

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