318. サトウキビの水槽栽培 2020年10月31日
第308節で述べたように水に挿していた側枝(2019年9月23日~2020年8月3日)は根がりっぱに生長した。
このサトウキビをシアノバクテリアが繁殖した水とともに水槽に移し、肥料としてハイポネックスを与えて栽培を開始した。
表1に栽培経過の記録を示す。
①ハイポネックスは水槽水の電気伝導度が0.2(ms/cm)になるように添加した。(図2)
②ハイポネックスの累積添加量を図3に示した。
③水槽水の量は30Lで開始したが、台風による雨水の混入で最大60Lまで増加した。
④10月6日に水槽ヒーターを設置し水温を25℃にコントロールするようにした。
水槽ヒーターは完全に浸漬する必要があるので以後水量は45L~50Lにコントロールすることにした。
すなわち、蒸発およびサトウキビに吸収された水は水道水の添加で補充している。
⑤図1に水槽水のpH変化を示した。8月中は7以下であったpHが9月になってから8を超えた。
ハイポネックスの累積添加量が8gに達した時期と一致しており、シアノバクテリアの増殖が促進されCO2吸収量が増加したためと考えられる。
10月になってからはハイポネックスの添加は行っておらず、pHは7.0~7.5を維持している。
写真1に水槽栽培開始時と83日経過後の状態を比較した。
また写真2には水槽栽培前と77日経過後のサトウキビ全体を比較した。
栽培前には存在していなかった茎と葉が出現し、生長していることは明瞭である。
一方で元からあった側枝では枯れていく葉が多かった。
写真3に水槽栽培の経過を示す。
水槽内かれ新しい芽が出てそれが生長していく姿が良く分かる。
写真4には水槽内の根の状態を示した。
土に生えたサトウキビの根は太く硬いが、こちらの根は細くて軟らかい。
水槽水を遠心分離し(写真5)、沈降物を顕微鏡撮影したのが写真6である。
球状の単細胞で凝集は見られなかった。
このシアノバクテリアとサトウキビな何らかの共生関係にあるのかもしれない。
例えば
①シアノバクテリアはサトウキビの根に酸素を与え、二酸化炭素を受け取る。
②もしこのシノバクテリアに窒素固定能があれば窒素をサトウキビに供給する。
③サトウキビの根からの分泌物がシアノバクテリアの栄養源になる。
などである。
水槽栽培のサトウキビが来たるべき冬を乗り越え、翌年さらなる生長を遂げるかどうか、楽しみである。
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